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レトロマイコン86ボードの構想(その19)ケース作成 [8086]

 「光造形式3Dプリンタの購入(その4)造形状況」の記事で書いたように自作したV20(i8088互換)のマイコンボード(Pic24V20)のケースを光造形式3Dプリンタで作ろうとしましたが造形物の板厚が一定しないという問題が発生し、ケース作成は保留状態になっていました。

 そこでFDM方式の3Dプリンタでケースを作成してみることにしました。
 「3チップ構成68Kマイコンの構想(その15)ケース」の記事で書いたPic24CPM68K基板のケースではトップパネルに百均で購入したスチロール製のディスプレイスタンドから平板を切出して CNC で加工し、側面はABSフィラメントを使いFDM方式の3Dプリンタで作成しました。
 今回はFDM方式の3Dプリンタだけを使いPLAフィラメントでトップパネルも出力してみる試みを行いました(単なる手抜きかもw)

 光造形式プリンタ用に設計したものをFDM方式3Dプリンタ用に少しアレンジしてみました。

Pic24V20基板のケース(CAD)


 下の写真がPLAフィラメントで作成したケースの部品です。FDM方式の3Dプリンタは出力するのに手間がかからなくていいですねぇ。
 側面の厚さは3mmなので中空になっていてフィラメントの色がトランスレートグリーンのため、いい具合に透き通って見えます。
 パネルは2mmの厚さでInfill Densityを100%にしているので中空にはなっていません。
 トップパネルの裏側には"Pic24V20"の文字を窪ませて書込んだのですがフィラメントの透明度が低いので見えにくいですね^^;

Pic24V20基板ケースの部品


 側面の部品を取り付けた状態が下の写真です。

側面部品取り付け(トップビュー)


 下の写真は裏側から見たものです。

側面部品取り付け(ボトムビュー)


 パネルを取り付けた全体の外観が下の写真です。
 スケルトン色のフィラメントを使いましたがやはりトップパネルは透明な素材の方が格調高く仕上がりますね。
 トップパネルの透明度不足で裏面に書いた文字が見えにくいので黒のマジックで塗ったところ手作り感が増しましたw
 今回のケースは冒頭で書いたPic24CPM68Kのものと比べると圧倒的に手作り感がにじみ出ていますね。

 気が向いたらCNCルータを使って透明なパネルも作ってみます。

Pic24V20ケース外観


★2020/05/28 追記
 LCD方式の光造形式3Dプリンタを使って透明レジンでパネルを作ってみました。
光造形式3Dプリンタの購入(その6)Pic24V20のパネル作成


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光造形式3Dプリンタの購入(その4)造形状況 [LCD3D_Printer]

 光造形式の3Dプリンタは造形物の精度が高いので「レトロマイコン86ボードの構想(その16)プリント基板完成」の記事で書いたV20(i8088互換)を使ったCP/M-86が動作する自作のボードのケース作成を試みてみました。

 私が使っているプリンタはELEGOO MARS UVで造形物の最大サイズが68x120x155[mm]で余り大きくはありません(他のLCD方式の光造形式プリンタもほぼ同じ)

 前回の記事「光造形式3Dプリンタの購入(その3)造形の精度」に追記したようにスライサー(ChituBOX)での造形物の最大サイズはX:68.4 Y:2120.96 Z:150 [mm] になっています。

 今回作成予定のケースは下図でサイズとしてはフロントパネルとバックパネルが最大になります。

Pic24V20基板のケース(CAD)


 フロントパネルは 68.1 x 102.4 [mm]でXサイズはカタログスペックより大きく(設定値よりは若干小さい)、ぎりぎり出力できるサイズになっています。

 各パーツを出力してみましたが板厚が一定しないという問題が発生しました。

出力したケースの各パーツ


 例えばフロントパネルの出力結果は下の写真です。

フロントパネルの造形結果


 しかし、下の右側からの写真を見て判るように厚さが一定ではありません(他の部品でも同様の現象が発生している)。
 実測してみるとみ右上の端の厚さが 3.15mm で右下の厚さが 2.45mm でした。
 また、若干反っています。反りについては温めた状態で直すことができるでしょうが、板厚のバラツキはどうしようもありません^^;

フロントパネルの板厚


 今回はレベリングを造形の都度行うようにしています(今までは開封時に1回やってそのまま使っていました)。

 原因が判っていないのでまだ対策できていませんが、ビルドプレートへの固着面積が大きくなると、FEPフィルムから剥がす時の抵抗が大きくなり、プレートが動いて傾いてしまう?でもそれなら板厚のバラツキがもっと出そうにも思います。
 そもそもレベリング時点でうまくできていない?(LCDの周辺にレジン漏れ防止のために貼ったマスキングテープが悪さをしている?)

 ケース作成が暗礁に乗り上げたので気分転換に「キーホルダの作成」の記事で書いたキーホルダを出力してみました。

 サポート材が不要なようにFDM方式で出力した時と同様に半分に分けて出力しました。
 この場合、出力物を合体させる必要がありますが、レジンは瞬間接着剤ではうまく接着できなかったのでレジンを塗って張り合わせ、紫外線ライトを照射することで接着しました。

キーホルダ


 こういうものは光造形式3Dプリンタの得意分野ですねぇ。
 IPAで洗浄後の造形物は表面が艶消しのようになっているのでUVカットのスプレーを塗布して光沢を出しています。

紫外線カットスプレー



★2020/04/17 追記
 「レトロマイコン86ボードの構想(その19)ケース作成」の記事にPic24V20基板のケースをFDM方式の3Dプリンタを使ってPLAフィラメントで作成した際の作業内容を記載しました。







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Z-80命令一覧表 [Z80]

 昔の資料を片付けていたら学生頃に使っていたZ-80命令一覧表が出てきた・・・・懐かしい^^
 これを見ながらハンドアセンブルしていた頃は徹夜で半田付けしたり、レコード買うかメモリ買うか悩んだりしてたけどずいぶん楽しかったなぁw

 今よりずっと情報が少なかったし、入手できるものもメチャ少なかったけど楽しさは情報量や物量には比例しないらしい。

 感性の違いかもしれないけど「足るを知る」ことができていたからなのか?

 でも今もそれなりに楽しいんだけどね。

Z-80命令一覧表



タグ:Z-80命令表
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光造形式3Dプリンタの購入(その3)造形の精度 [LCD3D_Printer]

 前回の「光造形式3Dプリンタの購入(その2)インフィル方法」の最後の方で書いたように造形物のボトムレイヤが他のレイヤより薄くなるということなので評価してみました。

 精度に関してはレジンの種類、環境温度や設定パラメータにも依存すると思います。
 今回の評価で使用したレジンはELEGOO Standard Resin Clear Greenで環境温度は23℃です。
 設定パラメータは下記のように標準設定のままです。

Parametervalue
Leyer Height0.05 mm
Bottom Layer Count5
Expose Time8 sec
Bottom Exposure Time60 sec
Light-off Delay 0 sec
Bottom Light-off Delay0 sec


 尚、使用した3Dプリンタは ELEGOO MARS UV です。

 評価用として下記のオブジェクトを作成しました。

評価用オブジェクト


 写真のように綺麗に出力されました。

評価用オブジェクト出力結果


 まず、外観で気になることが1点あり、下の写真のようにビルドプレートに固着している部分をよく見ると左上の部分(一番高い部分のボトム部)がプレートから浮いた痕跡があります。
 上位レイヤが少ない他の部分ではしっかりプレートに固着していたようですが、ベタの上位レイヤが多い場合、上位レイヤが硬化する際に収縮するのでプレートから剥がす応力が加わるためと思います。
 印刷終了時にプレートから剥がす際にはかなり堅固に固着していたので造形中に落下する心配はかなり少ないのですが造形物の精度に関しては悪影響がでるものと思います。

オブジェクトの底面


 他の出力物でも下の写真のように同様の現象が出ているものがあります。

他の出力物のボトムレイヤ


 上記の「評価用オブジェクト出力結果」で横方向をX軸、縦方向をY軸、上方向をZ軸とし、ボトム面の最も広いレイヤをレイヤ1、最も高いレイヤをレイヤ10とします。レイヤ10の直下のボトム面の位置をX,Yの原点とします。(ここでのレイヤはスライサーが生成するレイヤとは異なります)

 尚、プレート上での実際の出力位置は下図の場所です。

出力物のプレート上の位置


 測定はノギスのデプスバー部を用いてレイヤーの高さを直に測定しています。測定精度は0.05mm程度です(ノギス自体の精度は0.025mmですが当て方により変化する場合があるので測定精度は低くなります・・複数回計って平均を取るなどすれば精度が上がりますが)。

 最初に原点位置でのレイヤ10の高さは 9.70mm で0.30mm短くなっていました。
 これは前述のようにボトム面がプレートから浮いたためにボトム面の上昇分、短くなったものと思います。

 Y=0の位置での各レイヤの高さは

Layer No.Layer Hight[mm]error[mm]
11.15+0.15
20.95-0.05
30.95-0.05
41.00 0.00
51.00 0.00
61.00 0.00
70.95-0.05
80.95-0.05
91.00 0.00
101.00 0.00



 X=0の位置での各レイヤの高さは

Layer No.Layer Hight[mm]error[mm]
11.15+0.15
20.95-0.05
30.95-0.05
41.00 0.00
51.00 0.00
61.00 0.00
71.00 0.00
81.00 0.00
91.00 0.00
101.00 0.00


 次に各レイヤの幅をノギスのジョウ部で測定しました(測定精度は0.05mm程度)

 Y=0の位置での各レイヤの幅は下記の通りでした。但し、レイヤ1に関してはノギスを底面に対して垂直に当てた場合、20.20mmでこれは紫外線の照射時間が長いボトムレイヤが若干太っているためだと推測します。

Layer No.Layer Width[mm]error[mm]
120.15+0.15
218.10+0.10
316.10+0.10
414.10+0.10
512.10+0.10
610.10+0.10
7 8.10+0.10
8 6.10+0.10
9 4.10+0.10
102.10+0.10



 X=0の位置での各レイヤの幅は下記の通りで上記のY=0の結果と同様でした。

Layer No.Layer Width[mm]error[mm]
120.15+0.15
218.10+0.10
316.10+0.10
414.10+0.10
512.10+0.10
610.10+0.10
7 8.10+0.10
8 6.10+0.10
9 4.10+0.10
102.10+0.10



【まとめ】
  1. Z軸方向
     レイヤ1(ボトム面)が+0.15程度厚くなっている以外は測定誤差範囲内と言えるのではないでしょうか?
     前回の記事の最後の方に書いたようにネット情報ではボトムレイヤが他より短くなる問題があるとのことでしたが、今回実測した結果は逆にボトムが若干長く(厚く)なっていました。
     今回使用した3Dプリンタ(ELEGOO MARS)には少なくとも3世代くらいのバージョンがあるようなので最近のものは改善された可能性もあります。
     また、冒頭で述べたプレートからの浮きがある箇所では底面からレイヤ10までの厚さが設計値と比較し-0.30mmとなっています(実際にはレイヤ10の高さは問題ないがボトム面が0.3mm浮き上がっている形状になっていると思われる)

  2. X-Y軸方向
     X軸とY軸は同じ測定結果になり、レイヤ1が+0.15mm、レイヤ2~10が+0.10mmという結果になりました。
     レイヤ1に含まれるスライサーのボトムレイヤ部では更に0.05mm太くなっているようでした。
     SLA方式の3Dプリンタでは一般的に紫外線の照射時間が長いと硬化するレジンの範囲が広がることで造形物が大きくなる傾向があります。更に、スライサーでのボトムレイヤは紫外線の照射時間が長いので2次硬化時の伸縮が他のレイヤより小さいことやそもそもプレートに固着しているので上位層からの応力に耐えて収縮しにくいこと等が原因でレイヤ1が他のレイヤより若干大きめになったものと考えられます。
     今後は高精度が必要な造形物に関しては側面部分が0.05mm(=0.10mm/2)程度大きくなることを考慮して設計するようにしたいと思います(レジンや環境温度等が変われば変化する可能性はあります)

★2020/03/23 追記 {
 amazonのレビューを見ていたら「出力物のサイズが異なる問題があり、スライサー(ChituBox)でのプリンタ設定でビルドプレートのサイズが違っていたので本来のサイズ(X68Y120Z155mm)に設定し直したらきちんと出力されるようになった」というようなコメントを見かけました。
 設定を確認したところ、下図のようになっていました。
 出力済みの長めの造形物(設計値:102.4mm)を実測したところ102.6mmでした。
 設定値を小さくすれば1cm当たりのドット数が増えて出力物が大きくなる(設定値と出力サイズは反比例)はずなので120に変更した場合の出力サイズは

  102.6x120.96/120 = 103.4208mm

になると予想されます。このことから現状値のままで変更なしで行こうと思います。

ChituBOXでのプリンタ関連の設定値
}








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光造形式3Dプリンタの購入(その2)インフィル方法 [LCD3D_Printer]

 前回の「光造形式3Dプリンタの購入」の記事に追記したようにICピンのフォーミングツール出力の際、インフィル構造で設定(構造物の中を中空にし内部に補強パターンを生成することでレジンの使用量を少なくする機能)していますがレジンの抜け道が無いため、実際の出力物は内部の空洞部分にレジンが詰まった状態になっていました(しかも1mm弱の泡が混入している)
 そもそもこの厚みだと、下端(ビルドプレートと逆側)の壁を硬化する時でも出力物全体がレジンの中なのでレジンが詰まってしまいます。
 スライサー(ChiTuBox v1.6.3)でのインフィル設定は下図のとおり(ディフォルト値)です。

インフィルの設定値


 インフィル機能で開けた空洞の中のレジンの抜け穴を造形対象のSTLを作成する段階で開けて実験してみました。
 直径と高さがともに20mmの円柱に直径4mmの深さ10mmの穴を開けました。

レジン抜け穴生成実験


 スライス結果は下図のとおりで穴自体は外側なので穴と内部の空洞との間には壁が残ってしまいます。

空洞レジンの抜け道を前もって作った場合


 無垢の円柱(中心に穴を掘っていない円柱)にスライサーのDig Hole機能で同じような穴を開けた場合も同様の結果でした。

 スライサーには内部を空洞にするHollow機能があります。
 下記のように設定して内部を空洞化しでからDig Hole機能で上面の壁に穴を開け、スライスしてみました。

Hollow機能の設定


 スライス結果は望み通り、内部の空洞のレジンの抜け穴が塞がることなく、外界まで繋がりました。(判り易いように大きめの穴を開けています)

Infillでのレジン抜き穴生成例


 しかし、これでは穴の直下のグリッド構造が意味のないものになってしまいます。
 対処としては一旦スライス後、backボタンで編集画面に戻り、グリッド位置を確認しながらDig Hole機能で穴を開けるしかないようです(グリッドの構造は穴の有無で変化しませんでした)
 穴はビルドプレート側(もしくは側面)にも開けておいた方が空洞内のレジンを抜き易いと思います。

 また、Hollow機能の設定で壁厚1.5mm(Infillの壁厚設定は1.2mm)で上の壁に穴を開けてスライスするとGRIDは生成されませんでした(穴を開けなければ生成される)
 更にHollow機能の設定で壁厚3.0mmにすると生成されるGRIDパターンが滅茶苦茶になりましたw(こういう使い方をする人はいないと思いますが)

GRIDパターンがおかしくなっているケース


 MARS関連情報として「ELEGOO MARSの出力精度の改善」のブログを見つけました。
 ボトムレイヤーが他のレイヤーより短くなる問題があるようです。

 原因の一つにZ-axis backlash problemがあるとのことで他のLCD-SLA方式のプリンタでも発生する可能性があるようです。

 Z軸駆動のステッパーを固定しているサイレントブロックを伸縮しないスペーサーに変えると改善されるとのことなのですが結構手間がかかります^^;

 サイレントブロックは以前ebayで見つけ、静音化のためにFDM式の3Dプリンタ用として1年以上前に購入済みでそのうち取付けようと思っていたのですが、精度が落ちる可能性があるようなので取付作業は中止することにしました。


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