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プロッターの購入(その3)問題点と対処 [プロッター]

 前回の記事でソフトウェア環境の構築し、ストロークフォントによる日本語文字の gcode 出力方法まで書きました。このデータをプロッターで出力するとプロッターの動きが途中で止まってしまうという問題が発生しました。今回はその問題と解決方法について書いてみたと思います。


【問題内容】
 問題内容はプロッターで出力途中で動きが停止または突然ペンが gcode にないトラベル動作(場合によっては移動範囲外まで)をしてしまう現象が発生することです。移動範囲外に動いた場合、ステッパーがガラガラなり想定外の負荷がかかるのでACアダプタを直ぐにコンセントから抜ける状態で試しました。
 障害発生時の制御ソフト(Grbl Comtroller 3.6.1)の画面キャプチャが下図になります。このデータ(クリックでダウンロード可能)ではいつも同じ箇所で停止します。

問題(突然停止)発生時のコントローラ画面


【発生条件等】
 発生条件等を調べた結果下記のことが判りました。
  1. 12V供給無しでは発生しない
     試しにACアダプタを電源プラグから抜いた状態で印字してみると問題の症状は発生せず、最後まで実行できました(ペンのup/down用のサーボはUSBからの5V給電で動作している)

  2. Inkscapeでディレー挿入すると症状が発生しない
     inkscapeの J Tech で[Dwell Time Before Moving(ms)]を1msに設定すると症状が消えることが判りました。タイマー値を変更すると次のような結果でした。
      1.0ms:OK
      0.4ms:OK
      0.3ms:NG 最後の方で症状発生
      0.2ms:NG

【対処】
 上記の問題委の発生条件からステッパーの動作に伴うノイズまたは電源電圧変動から UNO の CPU が暴走している状態のようです。最初は上記の2項だけで対処しようと思いましたが、このディレー設定を行った gcode ではペンの上げるタイミングがズレるようで、印字した文字にペン上げタイミングで跳ねが発生することから、ペンアップ(M5コマンド)後に 0.6ms 程度のウエイト(G4 P0.6 コマンド)を入れる必要があることが判りました。

 このように対処のための対処が発生していまうので、基本に返りノイズ対策をしてみることにしました。
 実施したノイズ対策は次のような内容です。
  1. ステッパードライブIC直下にコンデンサ追加
     ステッパーコントローラIC直下にはもともと 100uF のコンデンサが付いていましたが、これに 16V 470uF のコンデンサを追加しました。
     試験した結果ほとんど効果は確認んできませんでした。

    ステッパードライブIC直下に追加したコンデンサ


  2. インターフェース基板の電源入力部にコンデンサ追加
     インターフェース基板の 12V 入力部に 16V 1000uF のコンデンサを追加してみました。試験結果として効果は確認できませんでした。このコンデンサ追加時の写真は撮っていません(効果が無かったので取り外しました)

  3. UNO 基板の電源部にコンデンサ追加
     UNO 基板の 5V に 6.3V 470uF のコンデンサを追加してみました。試験した結果は若干効果があったようですが、相変わらず途中で停止したり不要なトラベルが発生します。

    UNO の電源部にコンデンサ追加


  4. 加速度パラメータの調整
     基板に半田付けした後などに突然まったく動かなくなることがありました。確認してみると設定パラメータが壊れているので TeraTerm を使って設定テキストをコピペすることで再設定していました(シリアル設定では 1ms/char 5ms/line のウェイト設定)。制御ソフトにも GUI で設定する機能があるのですがエラーがでるので TeraTerm を使って設定しています。
     組立説明資料に記載されている設定値を改めて確認してみると $120 と $121 の加速度上限の値が明らかに大きすぎることに気が付きました。この値ではステッパーが動き出す際に大きな負荷がかかっているはずです。
     色々変えて試験してみると下記の結果だったので 70 にすることで問題現象は発生しなくなりました。
      500:NG
      200;NG
      100:たまにNG
       70:OK

     ステッパーの消費電流が大きくなっている原因として可動部の動きがスムーズでは無く、ステッパーに掛かる負荷が大きくなっているという可能性が考えられます。このようなキットを組み立てる際の最も重要な要素の一つとしてなるべく動きがスムーズになるようにするということがあるので、この点には注意して組み立てたつもりですが、X軸方向は少し渋い感じもありました。気が向いたら再確認して見たいと思います。

     下図は組立説明資料に記載されていた設定値です。加速度上限が 5000mm/sec^2 ではステッパーの動きに加速感がありません。

    組立説明資料に記載されている設定値

     変更後の設定値をテキストで貼っておきます。

    プロッタの設定値
    $0 = 10 $1 = 25 $2 = 0 $3 = 0 $4 = 0 $5 = 0 $6 = 0 $10 = 3 $11 = 0.010 $12 = 0.002 $13 = 0 $20 = 0 $21 = 0 $22 = 0 $23 = 0 $24 = 25.000 $25 = 500.000 $26 = 250 $27 = 1.000 $100 = 100.000 $101 = 100.000 $102 = 100.000 $110 = 5000.000 $111 = 5000.000 $112 = 500.000 $120 = 70.000 $121 = 70.000 $122 = 10.000 $130 = 200.000 $131 = 200.000 $132 = 200.000


 対策後の印字サンプルを貼っておきます。下の写真では工作用のシートを敷いていますが、プロット時のペンの動きを観察すると小さな動きの際にペン先がつっかえて固定してしまうようなのでもっと硬い(プラスティック製の下敷きか板ガラスのようなもの)を敷いた方がもっと上手に字が書けるのではないかと思います。

印字例1


印字例2



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プロッターの購入(その2)環境構築 [プロッター]

 前回の記事でプロッターを組み立て、テスト印字できるところまで書きましたが、今回はプロッターを使うための環境構築について書いてみたいと思います。

 とは言っても購入時に入手できる説明資料にほとんど書いてあるのですが、先人が作成された日本語ストロークフォント環境の構築やベクトルデータ作成方法に関しても自分へのメモの意味も込めて記録して置きたいと思います。

  1. プロッタのファームウェア
     ファームについては購入時にコントロールボード(Atmega328)にインストールされていた Grbl 0.9i をそのまま使っています。検証はしていませんが下記の URL からダウンロードできるものだと思います。
      https://github.com/AntonEvmenenko/grbl-servo


  2. パソコン側の制御ソフト
     これも説明資料に添付されていた Grbl Controller 3.6.1 をパソコンにインストールして使っています。
     コントローラーは他にも java で作られた UGS(Universal gcode sender) も添付されていましたが高機能ではありますが少しもっさり感があったので使っていません。

    プロッター制御ソフト(Grbl Controller 3.6.1)


  3. データ作成ソフト
     説明資料に従って Inkscape を使いました。元々インストールしていたものが 0.91 (説明資料にも同バージョンのものが添付)でしたが、少々古いので最新の Inkscape 1.3 の Windows 64-bit 版をインストールしました。

     Inkscape 関連では下記のものもインストールしています。

    1. Inkscape 用日本語ストロークフォント
       「PIC電子工作ブログ」のブログでは今回購入したものと同タイプのペンプロッタの情報が書いてあり、非常に参考になりました。「KST32B.svgフォントセット一応完成、公開」の記事で公開されているKST32B.svgフォントをインストールしました。Inkscape 環境の日本語ストロークフォントを公開して頂きありがとうございます。

    2. gcode出力プラグイン
       説明資料にも記載されていた Inkscape で作成したベクトルデータを gcode で出力するJ Tech Photonics Laser Tool(Community version)をインストールしました。
       インストール方法は上記のリンク先の説明にも書いてありますが、ダウンロードしたファイルを解凍すると生成される laserフォルダをInkscapeuser extensions フォルダにコピーし、Inkscape を再起動すれば使用可能になります。 Inkscapeuser extensions フォルダは 編集⇒環境設定⇒システム を辿れば確認できます。
       エクステンション⇒Generate Laser Gcode⇒J Tech Community Lase Tool で起動できます。
       設定例を下図に示します。必要項目を設定後に適用ボタンを押せば、「ファイル名」で設定したファイルが生成されます。

      J Tech の設定1

      J Tech の設定2

      J Tech の設定3

      J Tech の設定4


  4. データ作成方法
     以下にデータの作成方法について簡単にまとめました。

    1. 画像データのベクトル化
       画像を貼り付けます。

      画像データのベクトル化1

       パス⇒ビットマップのトレースを選択

      画像データのベクトル化2

       抽出モード、閾値等をプレビューを見ながら適当に設定

      画像データのベクトル化3

       「適用」ボタンを押下しベクトルデータを生成

      画像データのベクトル化4

       画像データをずらしてベクトル化したデータを確認する。画像データは gcode 出力時には無視されるのでそのままでも良い。

      画像データのベクトル化5


    2. 日本語文字のベクトルデータ作成
       日本語ストロークフォント(シングルラインフォント)をインストールしたので日本語の文字列もベクトルデータト化できます。
       最初に日本語のデータを書きます。この時、右側の設定ウィンドでフォント種別を「MS Gothic」にすると変換後のベクトルデータとサイズがほぼ同じになります。

      日本語ストロークフォントデータ文字データ作成1

       エクステンション⇒テキスト⇒Herishey テキスト を選択します。

      日本語ストロークフォントデータ文字データ作成2

       Hershey テキストの設定を下図のようにして「適用」ボタンを押します。

      日本語ストロークフォントデータ文字データ作成3

       最初に入力したテキストデータに重ねられた状態でベクトルデータが生成されます。

      日本語ストロークフォントデータ文字データ作成4

       入力した文字列を移動し、生成されたベクトルデータを確認します。gcode 出力時にはベクトルデータのみが出力対象になるので最初に入力した文字列はそのままでも問題ありません。

      日本語ストロークフォントデータ文字データ作成5



 次回はストロークフォントの文字データを出力した際に発生した問題とその対処方法について書く予定です。


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プロッターの購入 [プロッター]

 1年以上前に AliExpres で見かけたプロッターがずっと気になっていました。見かけたときは1万3千円台の値段でしたが円安などの影響で今では1万6千円以上になっています。
 早く買えば良かったと少し後悔していたのですが、最近のセールスで久々に1万3千円台(送料含めて13,792円)の物を見つけ注文しました。

 久々のキット購入です。届いた箱は下の様に結構小型にまとめられていました。

プロッターキットの開封


 中身の部品は下の写真のとおりです。ネジ類はかなり余分に入っていました。サーボは豪勢に2個入り(必要数は1個)でした。

プロッターキットのパーツ


 今回は気が向いた時に少しずつ組み立ててみました。説明資料(PDF等)やソフトウェアはネットからダウンロードする形式で、説明書も英語表記で助かりました。特に悩ましい箇所もなく、割合すんなりと組み立てられました。
 一カ所だけ組立説明書と部品が違っていました(下の写真の右下がマニュアルの部品)。まずはそのまま組み立てました。動作上の問題があるようであれば3Dプリンタでパーツを作ろうと思っていましたが、結果としては動作上の問題はなく、タイミングベルトが固定パーツに接触しにくいように改善されたパーツのようです。

説明書と異なる部品


 添付されている12V2AのACアダプタはEUプラグだったので充電器用に使用している手持ちの同じスペックのアダプタで動かしてみました。また、添付のアダプタの入力はAC100V~240Vだったので変換プラグをAliExpressで注文しました。

 下の写真は説明資料に同梱されていた weizi_0001.gcode を使って初めてプロットした時の写真です。初めての動作確認なのでまだ配線の整理はしていません。

プロッターでの書初め


 制御ソフトはGrblController3.6(Win用)をインストールしています(プロッターのコントローラには制御ソフト:Grbl 0.9i がインストール済みでした)。

プロッター制御ソフト


 gcode に対応しているようで、説明資料には Inkscape で gcode を作成する方法等も書いてあるようです。Inkscape は PDF ファイルの加工等で使用していたので既にインストール済みではありますが、あまり使い慣れていません^^;

 Twitter(X)に投稿した動画付きメッセージも貼っておきます。



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