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光造形式3Dプリンタの購入(その6)Pic24V20のパネル作成 [LCD3D_Printer]

 「光造形式3Dプリンタの購入(その4)造形状況」の記事で書いたようにLCD方式の3DプリンタでPic24V20のケースを作成しようとした際に出力したパネルの厚さが一定にならない問題が発生したため、FDM方式の3Dプリンタでケースを作成し「レトロマイコン86ボードの構想(その19)ケース作成」の記事に詳細を書きました。

 しかしこの時作成したケースはパネル部分が不透明なため、手作り感が強すぎる印象がありましたw
 今回は透明なレジン(AnycubicのClearレジン)を使用してパネルを立てて配置してLCD方式のプリンタで出力してみました。
 ケースの設計をFDM方式用にモディファイした段階で平置きではもはや造形サイズがオーバーしているので縦方向にすることで何とか入りました。出力時間は10時間15分です^^;;

CHITUBOXでの配置


 出力結果が下の写真で、いくら光造形方式でも側面は積層面なので細かな凹凸ができて透明レジンを使っても透明度はあまり出ません。

LCD方式光造形出力結果


 そこで今回はコンパウンドを使って艶出しをしてみました。

使用したコンパウンド


 このコンパウンドは評価用の少量組合せセットで3種類(50um,2um,1um)が25gづつ入ったセットです。

 2umで艶出して、ボトム面(左側)の下半分だけを1umで仕上げてみました(あまり変化が無かったので1umは部分的に適用)。

コンパウンド処理後


 透明度はあまり向上しない結果となりました(コンパウンド前にヤスリでヤスればもっと透明になったかも)
 最後に紫外線カットスプレーでトップコーティングしました。

紫外線カットスプレー


 トップコーティング後は流石に透明度が向上しています。表面が平面でないため、写真では判りませんが透かして見ると遠くのものはぼやけてよく見えない状態です。
 白い部分は反射です(これを入れないとどこがパネルかわからないのでわざと入れています)

トップコーティング後の状態


 また、クリアレジンを使っていますが微妙に黄色みがかっています。

パネルの色合い


 プリンタで出力した時点で気が付いていたのですが、パネルの中央横方向にギザギザの線(気泡?)が出ています。
 直線であればLCDのドット欠けという可能性もありますが、線ではないので原因不明(判る人がいたら教えてください)です^^;;;

★2020/05/03 追記 {
 一次原因としては、バット中央縦方(気泡混入部)でレジンの硬化が他の部分より弱いために気泡が混入したものと推測されます。
 硬化が弱かった理由としてはこの部分のUV-LEDの出力が弱い、LCDまたはFEPフィルムの紫外線透過率が悪くなっている等が考えられます。
}

 最後に、Pic24V20のケースとして今回のパネルを組み込んだ写真を貼っておきます。

 基板自体がぼけて見えるのは前述のようにパネルの厚さに凹凸があるためであり、被写界深度が超狭いということではありません。

Pic24V20ケース(トップ面)


 ボトム面の様子は下の写真のとおりです。

Pic24V20ケース(ボトム面)



★2020/10/07 追記
 「レトロマイコン86ボードの構想(その20)ケース作成2」の記事にCNCを使ったパネル作成について記載しました。


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光造形式3Dプリンタの購入(その5)マスクの造形 [LCD3D_Printer]

 コロナ感染者は次第に増加してきていて予断を許さない状況が続いていますが、昨年風邪をひいた時に買っておいたマスク及びガラエポ基板切断時などに使う防塵用のマスクの残りが少なくなってきました^^;

 下の写真のように自作のUV-EPROMイレーサーで殺菌して再利用してはいたのですが・・・

マスクの殺菌


★2020/05/15 追記 {
 コロナウィルスに対する紫外線の殺菌効果についての情報が記載されたページを参考として貼っておきます。
 8W(上の写真のものは4W)の殺菌灯を15cmの距離で9秒照射するとウィルスが1万分の1まで不活性化されるようです。
}

 近くの店舗ではまだマスクを見かけない状況(通販では見かけるけど)なので皆さんどうやって確保されているのか不思議です・・・

 3Dプリンタ用のマスク作成のためのstlファイルも色々ネットで公開されていますが、3DモデルサイトのCults.にあったfreeのREUSABLE FACIAL MASK RESPIRATOR FRAME COVERを作ってみました。

 造形状態の比較の意味もあり、FDM方式の3DプリンタでPLAフィラメントをつかったものとLCD方式の3Dプリンタの両方で出力してみました。
 出力するのにFDM方式では5時間、LCD方式では8時間程度かかりました(LCD方式は静かなので夜中に出力できていいですね)
 FDMではメッシュ状の部分のサポート材を取るのが結構大変だった。LCD側はUVカットスプレーを塗布し光沢を出しています。


マスクのOuterの出力


 マスクのinnerの出力結果が下の写真になります。

マスクのInnerの出力


 比較するまでもなく、LCD方式の方が圧倒的に綺麗に出力されていますね。このような曲面構成で強度がそれほど要求されないものはLCD方式の得意分野だと思います。

 このマスクの構成はOuterとInnerの他にOuterの淵に取付けるsealingがあり、これは柔らかい素材にした方がいいようです。
 そこで以前百均で買っておいた自転車のバルブチューブを流用してみましたw

バルブチューブ


 硬化したレジンにコム系素材を接着するために手持ちの接着剤の中から自転車の修理用のコム糊や万能ボンド等を試した結果、硬化後も弾力性がある万能ボンドが良好な結果でした。

万能ボンド


 下の写真はマスキングテープを使ってSealingを取り付けている状況です。

Sealingの取付


 LCD方式で出力したOuterにバルブチューブと使用後の市販マスクからとったゴム紐を付けた状態が下の写真です。

3Dプリンタ出力のマスク


 更にOuterとInnerの間にティッシュを挟んでマスキングテープで固定した状態が下の写真です。
 試しに装着して少し散歩してきましたが、顔にフィットして中々よさげでした。
 これならティッシュがある限り、マスクの心配はしなくてもよさそうです(でもちょっと目立つかもw)。

3Dプリンタ出力のマスク(完成)



★2020/04/12 追記 {
 FDM方式の3Dプリンタでシルバー色のABSフィラメントを使ってマスクを出力してみました。今回はゴムかけ部分が片側2ヶ所のタイプを出力してみました。

 写真では判り辛いかもしれませんが、ABS樹脂なのでアセトン処理を行い表面がツルツルになっています。
 アセトン処理は面倒なので(アセトンと一緒に入れて密閉しておくだけなのですが)今まであまりやっていませんでしたが、光造形式のプリンタで手が掛かることに慣れたせいかアセトン処理は苦にならなくなりましたw

 ネットで公開されているマスクデータを何個か出力してみましたが、このページで紹介しているものが(私の)顔にフィットし、一番良い感じでした。(有料のものは試していません)

 ティッシュは通常2枚組になっているので半分の1枚分をセットすると丁度いいです。装着して少しすると顔の方がマスクの形状に対応していく?のか密閉度はほぼ完璧なため市販のマスクより少し息苦しい感じです。

FDM方式3Dプリンタでの出力例(ABS樹脂)
}


★2020/04/18 追記 {
 最初に出力したマスクと同じタイプのouterをABS樹脂を使って再度出力してみました。
 最初に出力したマスクはouterの淵に貼ったゴムチューブのおかげで、顔への密着度という点では一番優れています(顔への接触面積も小さいので装着感もいい)。

 アセトン処理を行い表面はツルツルで3Dプリンタで出力した物とは思えない出来栄えです^^
 左側中央にある横の線はひび割れ(環境温度が低いと発生し易い)したため瞬間接着剤で接着した部分です。接着しないままアセトン処理すると内部応力のため破断面が拡大する(と思われる)ため、接着した後にアセトン処理しました。
 ABSはPLA等に比べて熱による膨張率が大きいことなどから安定に出力するのが難しいですが、アセトン処理ができるのがいいですね。

ABS樹脂で再度出力(アセトン処理済み)


ABS樹脂で再度出力(側面)
}


★2020/04/15 追記 {
 Twitterで話題になっていた3Dプリンタ用のマスクを出力してみました。
 参考に開発元のツイートを貼っておきます。
 このような素晴らしいデータを無料で公開されていることに感謝いたします。



 このマスクはFDM方式の3Dプリンタで出力し易いように設計されているので私のFDM方式の3Dプリンタを使ってABSフィラメントで一発で出力できました。
 フィルタの交換も楽なように設計されていて、顔にもフィットします。
 海外製のものは顔の彫りが深くない私にはフィット感がイマイチなものが多いですw

 ABS樹脂なのでアセトン処理を行い、アセトンで柔らかくなった状態で自分の顔にフィットするように微調整しました。
 このマスクに限ったことではないですが、ABSフィラメントで薄い構造のものを出力した場合にどうしても積層間の強度が弱くなってしまうので、アセトン処理して積層間の強度を強化することをお勧めします。
 顔へのフィット感やフィルタの取付易さ等、今まで試した3Dプリンタ出力タイプのマスクでは一番良いと思います。

日本製のフリーで公開されているPITATT 3D print maskの出力例(ABS樹脂)
}

★2020/05/03 追記 {
 4/29にV2にバージョンアップしたようです。

 早速出力してみました。今回はPLAでレイヤ間隔:0.2mmで出力しました。
 PLAの方が安定して出力できるし、今回の場合、ドライヤーで温めて形状をある程度カスタマイズできるのもいいですね。

 出力結果が下の写真で前回は自分の顔に合わせてカスタマイズしていましたが、今回はカスタマイズなしでも顔へのフィット感が向上しました。
 また、通気部分の面積がアップしたのでティッシュ1枚まるまるを1/4に畳んで使っても息苦しさを感じません。

PITATT 3D Ver 2出力例(PLA樹脂 積層間隔:0.2mm)
}

★2020/05/19 追記 {
 5/17に通気性がアップした夏バージョンが公開されました。
 通気性が大幅にアップし、頬への一体感?が軽減されました。
 あごの部分の出力が若干乱れましたが積層0.2mmのPLAで問題なく出力できました。
 フィルターはティッシュ四つ折りでひし形にして使うと丁度良い感じです。

PITATT 3D Cool 出力例(PLA樹脂 積層間隔:0.2mm)
}

★2021/07/17 追記 {
 上記のPITATTマスクのSTLファールは下記サイトでダウンロードできます。
    PITATT 3D print mask
}

★2020/06/07 追記 {
 上記のPITATT3Dマスクの開発者により、ドアノブなどの公共物の操作時に手をガードできるFitas Finger-Shieldデータが公開されたので出力してみました。
 右上の本体がTPU(積層:0.15mm)、左側のカバーはPLA(積層:0.2mm)で出力しています。
 TPUフィラメントでの出力時はフィラメントリールホルダからエクストルーダーまでの調整を完璧(フィラメントの抵抗を最小限)にしておく必要があるので気を遣います。

 出力したのはMサイズのものでトランスペアレントグリーン系の色で揃えてみました。
 特にカバー部分の機構設計はいつもながらに素晴らしい。

Fitas Finger-Shield
}


★2020/04/27 追記 {
 MakerBot Thingiverseで2020/04/17に登録されたCOVID-19 MASK v2を見つけたので出力してみました。
 今まで海外のマスクデータを何個か出力してみました(今回出力したものの前バージョンのVer1も)が私(日本人)の顔にフィットしするものはあまりありませんでした。しかし、今回のものはフィット感はかなり高いです^^

 ABSフィラメントでレイヤ幅 0.2mmで出力したものが下の写真です(マスク本体はSサイズのものを出力)。Sサイズということもありますが結構コンパクトです。

COVID-19 MASK v2出力結果


 裏側は下の写真のように鼻と口の部分は必要十分なスペースが確保されています。

COVID-19 MASK v2出力結果(裏面)


 フィルタをサポートする部分は内側のCONNECTORと外側のCAPの2ピース構成になっています。
 下の写真のように輪ゴム(赤色部分)を挟んで簡易的なパッキンにすると気密性が高くなります(顔にもフィットしているのでCAPの隙間を手で塞ぐと息ができなくなる)

フィルタサポート用のCONNECTORとCAP


 このマスクは市販のフィルタを使用するように作られているようですがキッチンペーパー等をセットして使うことも可能と思います(市販のフィルタよりは効果は落ちるでしょうけど)

 顔へのフィット感や密閉性はかなり高いですが、マスクの淵が顔にほぼ直角に当たるので長い時間装着していると顔に痕が付きます。

 添付されているマニュアルにも
 「オプションで、マスクの輪郭を囲むように粘着性のあるゴムストリップを取り付けることもできます。
と書かれていて柔軟性のある素材でマスクのエッジを囲まないと長時間の着用は厳しそうです(TPUフィラメントで作成する?)。

}


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光造形式3Dプリンタの購入(その4)造形状況 [LCD3D_Printer]

 光造形式の3Dプリンタは造形物の精度が高いので「レトロマイコン86ボードの構想(その16)プリント基板完成」の記事で書いたV20(i8088互換)を使ったCP/M-86が動作する自作のボードのケース作成を試みてみました。

 私が使っているプリンタはELEGOO MARS UVで造形物の最大サイズが68x120x155[mm]で余り大きくはありません(他のLCD方式の光造形式プリンタもほぼ同じ)

 前回の記事「光造形式3Dプリンタの購入(その3)造形の精度」に追記したようにスライサー(ChituBOX)での造形物の最大サイズはX:68.4 Y:2120.96 Z:150 [mm] になっています。

 今回作成予定のケースは下図でサイズとしてはフロントパネルとバックパネルが最大になります。

Pic24V20基板のケース(CAD)


 フロントパネルは 68.1 x 102.4 [mm]でXサイズはカタログスペックより大きく(設定値よりは若干小さい)、ぎりぎり出力できるサイズになっています。

 各パーツを出力してみましたが板厚が一定しないという問題が発生しました。

出力したケースの各パーツ


 例えばフロントパネルの出力結果は下の写真です。

フロントパネルの造形結果


 しかし、下の右側からの写真を見て判るように厚さが一定ではありません(他の部品でも同様の現象が発生している)。
 実測してみるとみ右上の端の厚さが 3.15mm で右下の厚さが 2.45mm でした。
 また、若干反っています。反りについては温めた状態で直すことができるでしょうが、板厚のバラツキはどうしようもありません^^;

フロントパネルの板厚


 今回はレベリングを造形の都度行うようにしています(今までは開封時に1回やってそのまま使っていました)。

 原因が判っていないのでまだ対策できていませんが、ビルドプレートへの固着面積が大きくなると、FEPフィルムから剥がす時の抵抗が大きくなり、プレートが動いて傾いてしまう?でもそれなら板厚のバラツキがもっと出そうにも思います。
 そもそもレベリング時点でうまくできていない?(LCDの周辺にレジン漏れ防止のために貼ったマスキングテープが悪さをしている?)

 ケース作成が暗礁に乗り上げたので気分転換に「キーホルダの作成」の記事で書いたキーホルダを出力してみました。

 サポート材が不要なようにFDM方式で出力した時と同様に半分に分けて出力しました。
 この場合、出力物を合体させる必要がありますが、レジンは瞬間接着剤ではうまく接着できなかったのでレジンを塗って張り合わせ、紫外線ライトを照射することで接着しました。

キーホルダ


 こういうものは光造形式3Dプリンタの得意分野ですねぇ。
 IPAで洗浄後の造形物は表面が艶消しのようになっているのでUVカットのスプレーを塗布して光沢を出しています。

紫外線カットスプレー



★2020/04/17 追記
 「レトロマイコン86ボードの構想(その19)ケース作成」の記事にPic24V20基板のケースをFDM方式の3Dプリンタを使ってPLAフィラメントで作成した際の作業内容を記載しました。







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光造形式3Dプリンタの購入(その3)造形の精度 [LCD3D_Printer]

 前回の「光造形式3Dプリンタの購入(その2)インフィル方法」の最後の方で書いたように造形物のボトムレイヤが他のレイヤより薄くなるということなので評価してみました。

 精度に関してはレジンの種類、環境温度や設定パラメータにも依存すると思います。
 今回の評価で使用したレジンはELEGOO Standard Resin Clear Greenで環境温度は23℃です。
 設定パラメータは下記のように標準設定のままです。

Parametervalue
Leyer Height0.05 mm
Bottom Layer Count5
Expose Time8 sec
Bottom Exposure Time60 sec
Light-off Delay 0 sec
Bottom Light-off Delay0 sec


 尚、使用した3Dプリンタは ELEGOO MARS UV です。

 評価用として下記のオブジェクトを作成しました。

評価用オブジェクト


 写真のように綺麗に出力されました。

評価用オブジェクト出力結果


 まず、外観で気になることが1点あり、下の写真のようにビルドプレートに固着している部分をよく見ると左上の部分(一番高い部分のボトム部)がプレートから浮いた痕跡があります。
 上位レイヤが少ない他の部分ではしっかりプレートに固着していたようですが、ベタの上位レイヤが多い場合、上位レイヤが硬化する際に収縮するのでプレートから剥がす応力が加わるためと思います。
 印刷終了時にプレートから剥がす際にはかなり堅固に固着していたので造形中に落下する心配はかなり少ないのですが造形物の精度に関しては悪影響がでるものと思います。

オブジェクトの底面


 他の出力物でも下の写真のように同様の現象が出ているものがあります。

他の出力物のボトムレイヤ


 上記の「評価用オブジェクト出力結果」で横方向をX軸、縦方向をY軸、上方向をZ軸とし、ボトム面の最も広いレイヤをレイヤ1、最も高いレイヤをレイヤ10とします。レイヤ10の直下のボトム面の位置をX,Yの原点とします。(ここでのレイヤはスライサーが生成するレイヤとは異なります)

 尚、プレート上での実際の出力位置は下図の場所です。

出力物のプレート上の位置


 測定はノギスのデプスバー部を用いてレイヤーの高さを直に測定しています。測定精度は0.05mm程度です(ノギス自体の精度は0.025mmですが当て方により変化する場合があるので測定精度は低くなります・・複数回計って平均を取るなどすれば精度が上がりますが)。

 最初に原点位置でのレイヤ10の高さは 9.70mm で0.30mm短くなっていました。
 これは前述のようにボトム面がプレートから浮いたためにボトム面の上昇分、短くなったものと思います。

 Y=0の位置での各レイヤの高さは

Layer No.Layer Hight[mm]error[mm]
11.15+0.15
20.95-0.05
30.95-0.05
41.00 0.00
51.00 0.00
61.00 0.00
70.95-0.05
80.95-0.05
91.00 0.00
101.00 0.00



 X=0の位置での各レイヤの高さは

Layer No.Layer Hight[mm]error[mm]
11.15+0.15
20.95-0.05
30.95-0.05
41.00 0.00
51.00 0.00
61.00 0.00
71.00 0.00
81.00 0.00
91.00 0.00
101.00 0.00


 次に各レイヤの幅をノギスのジョウ部で測定しました(測定精度は0.05mm程度)

 Y=0の位置での各レイヤの幅は下記の通りでした。但し、レイヤ1に関してはノギスを底面に対して垂直に当てた場合、20.20mmでこれは紫外線の照射時間が長いボトムレイヤが若干太っているためだと推測します。

Layer No.Layer Width[mm]error[mm]
120.15+0.15
218.10+0.10
316.10+0.10
414.10+0.10
512.10+0.10
610.10+0.10
7 8.10+0.10
8 6.10+0.10
9 4.10+0.10
102.10+0.10



 X=0の位置での各レイヤの幅は下記の通りで上記のY=0の結果と同様でした。

Layer No.Layer Width[mm]error[mm]
120.15+0.15
218.10+0.10
316.10+0.10
414.10+0.10
512.10+0.10
610.10+0.10
7 8.10+0.10
8 6.10+0.10
9 4.10+0.10
102.10+0.10



【まとめ】
  1. Z軸方向
     レイヤ1(ボトム面)が+0.15程度厚くなっている以外は測定誤差範囲内と言えるのではないでしょうか?
     前回の記事の最後の方に書いたようにネット情報ではボトムレイヤが他より短くなる問題があるとのことでしたが、今回実測した結果は逆にボトムが若干長く(厚く)なっていました。
     今回使用した3Dプリンタ(ELEGOO MARS)には少なくとも3世代くらいのバージョンがあるようなので最近のものは改善された可能性もあります。
     また、冒頭で述べたプレートからの浮きがある箇所では底面からレイヤ10までの厚さが設計値と比較し-0.30mmとなっています(実際にはレイヤ10の高さは問題ないがボトム面が0.3mm浮き上がっている形状になっていると思われる)

  2. X-Y軸方向
     X軸とY軸は同じ測定結果になり、レイヤ1が+0.15mm、レイヤ2~10が+0.10mmという結果になりました。
     レイヤ1に含まれるスライサーのボトムレイヤ部では更に0.05mm太くなっているようでした。
     SLA方式の3Dプリンタでは一般的に紫外線の照射時間が長いと硬化するレジンの範囲が広がることで造形物が大きくなる傾向があります。更に、スライサーでのボトムレイヤは紫外線の照射時間が長いので2次硬化時の伸縮が他のレイヤより小さいことやそもそもプレートに固着しているので上位層からの応力に耐えて収縮しにくいこと等が原因でレイヤ1が他のレイヤより若干大きめになったものと考えられます。
     今後は高精度が必要な造形物に関しては側面部分が0.05mm(=0.10mm/2)程度大きくなることを考慮して設計するようにしたいと思います(レジンや環境温度等が変われば変化する可能性はあります)

★2020/03/23 追記 {
 amazonのレビューを見ていたら「出力物のサイズが異なる問題があり、スライサー(ChituBox)でのプリンタ設定でビルドプレートのサイズが違っていたので本来のサイズ(X68Y120Z155mm)に設定し直したらきちんと出力されるようになった」というようなコメントを見かけました。
 設定を確認したところ、下図のようになっていました。
 出力済みの長めの造形物(設計値:102.4mm)を実測したところ102.6mmでした。
 設定値を小さくすれば1cm当たりのドット数が増えて出力物が大きくなる(設定値と出力サイズは反比例)はずなので120に変更した場合の出力サイズは

  102.6x120.96/120 = 103.4208mm

になると予想されます。このことから現状値のままで変更なしで行こうと思います。

ChituBOXでのプリンタ関連の設定値
}








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光造形式3Dプリンタの購入(その2)インフィル方法 [LCD3D_Printer]

 前回の「光造形式3Dプリンタの購入」の記事に追記したようにICピンのフォーミングツール出力の際、インフィル構造で設定(構造物の中を中空にし内部に補強パターンを生成することでレジンの使用量を少なくする機能)していますがレジンの抜け道が無いため、実際の出力物は内部の空洞部分にレジンが詰まった状態になっていました(しかも1mm弱の泡が混入している)
 そもそもこの厚みだと、下端(ビルドプレートと逆側)の壁を硬化する時でも出力物全体がレジンの中なのでレジンが詰まってしまいます。
 スライサー(ChiTuBox v1.6.3)でのインフィル設定は下図のとおり(ディフォルト値)です。

インフィルの設定値


 インフィル機能で開けた空洞の中のレジンの抜け穴を造形対象のSTLを作成する段階で開けて実験してみました。
 直径と高さがともに20mmの円柱に直径4mmの深さ10mmの穴を開けました。

レジン抜け穴生成実験


 スライス結果は下図のとおりで穴自体は外側なので穴と内部の空洞との間には壁が残ってしまいます。

空洞レジンの抜け道を前もって作った場合


 無垢の円柱(中心に穴を掘っていない円柱)にスライサーのDig Hole機能で同じような穴を開けた場合も同様の結果でした。

 スライサーには内部を空洞にするHollow機能があります。
 下記のように設定して内部を空洞化しでからDig Hole機能で上面の壁に穴を開け、スライスしてみました。

Hollow機能の設定


 スライス結果は望み通り、内部の空洞のレジンの抜け穴が塞がることなく、外界まで繋がりました。(判り易いように大きめの穴を開けています)

Infillでのレジン抜き穴生成例


 しかし、これでは穴の直下のグリッド構造が意味のないものになってしまいます。
 対処としては一旦スライス後、backボタンで編集画面に戻り、グリッド位置を確認しながらDig Hole機能で穴を開けるしかないようです(グリッドの構造は穴の有無で変化しませんでした)
 穴はビルドプレート側(もしくは側面)にも開けておいた方が空洞内のレジンを抜き易いと思います。

 また、Hollow機能の設定で壁厚1.5mm(Infillの壁厚設定は1.2mm)で上の壁に穴を開けてスライスするとGRIDは生成されませんでした(穴を開けなければ生成される)
 更にHollow機能の設定で壁厚3.0mmにすると生成されるGRIDパターンが滅茶苦茶になりましたw(こういう使い方をする人はいないと思いますが)

GRIDパターンがおかしくなっているケース


 MARS関連情報として「ELEGOO MARSの出力精度の改善」のブログを見つけました。
 ボトムレイヤーが他のレイヤーより短くなる問題があるようです。

 原因の一つにZ-axis backlash problemがあるとのことで他のLCD-SLA方式のプリンタでも発生する可能性があるようです。

 Z軸駆動のステッパーを固定しているサイレントブロックを伸縮しないスペーサーに変えると改善されるとのことなのですが結構手間がかかります^^;

 サイレントブロックは以前ebayで見つけ、静音化のためにFDM式の3Dプリンタ用として1年以上前に購入済みでそのうち取付けようと思っていたのですが、精度が落ちる可能性があるようなので取付作業は中止することにしました。


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