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ワイヤリングペンの作成(その2) [3D_printer]

 最近は Z80 を使った超小型Z80マイコンや日立製作所(現ルネサス エレクトロニクス)が開発したバイナリ互換の8ビットCPUである HD64180 を使ったHD64180Compactのワンボードを作って遊んでいます。ブレッドボードでは動作が不安定なことがあるので開発用に手配線で試作ボードを作成することがあります。

 配線の線材として以前はラッピング用のPTFE線を使っていましたが、配線作業効率化のためにウレタン線(以降、UEW線と記す)を使うようになりました。UEW線は半田ごてで380℃程度に温めることで被覆が溶けるため、被覆を剥がす手間が不要となり作業性が向上します。被覆が溶ける温度は結構高温なので半田ごての温度を少し高めに設定し前もって被覆を溶かしてから基板に半田付けするようにしています。

 複数の接続ポイントを一筆書きの要領で半田付けすることもできます。しかし試作の場合、回路変更が必要になることもあるので変更し易いように2点間を接続するようにしています。ChaN さんの「プロト基板の配線テクニック」にUEW線配線のノウハウについて書かれていますので一見することをお勧めします。

 UEW線を半田付けする際の道具としてワイヤリングペンが必要になりますが今では市販品の入手が困難な状況です。ネット上ではワイヤリングペンの自作情報が色々見つかりますがこれらの自作記事のほとんどは市販のシャープペンシルにリールを付けたものでUEW線を固定する機能がありません。本ブログの「ワイヤリングペンの作成」の記事で固定機能を有したワイヤリングペンの自作の話を書きましたが、今回、より使い易くなるように部品の見直しを行いました。

 特徴としては
  1. UEW線固定機能
     人差し指で固定ボタンを押すことでUEW線が固定されるのでUEW線を整形し易い
  2. 太めの本体
     本体を太くすることでグリップが安定し、長時間作業しても疲れにくい
  3. 耐熱設計
     先端には耐熱用の外径 1mm、内径0.6mmの真鍮パイプを実装している(但し、真鍮パイプに直接こて先が触れないようにしてください)

 CAD 画面が下図になります。

ワイヤリングペン(CAD設計画面)


 PETG フィラメントで出力した部品が下図になります。

ワイヤリングペンの部品


 組立後の外観が下の写真です。本体とペン先は透明のPETGフィラメントで出力し、その他はグレーのPETGフィラメントを使いました。右手で使う場合はボビンを下の写真の角度で本体に装着すると使い易いです。

組立後のワイヤリングペン




【組立方法】
  1. ボビンの組立
     ボビンの軸の両端に円盤型のパーツを取り付けます。軸が円盤より 1mm 程度出るまで入れてください。そのままでも使用可能ですがしっかり固定したい場合はPETGフィラメントの造形物の接着が可能なセメダイン SUPER XG 等で固定してください。この接着剤は PETG を強力に接着できるので PETG の造形物が破損した場合の修復にも使用できます。

    ボビンの組立


  2. ボビンをサポータへ取付け
     サポータのアーム部を広げてボビンを挟み込みます。取り付け後、ボビンがスムーズに回転することを確かめてください。

    サポーターへの取付け


  3. UEW線の巻付け
     別途購入した UEW 線をボビンに巻き付けます。ボビン軸のフランジ(円形のつば)付近にあるホールに UEW 線の先端を入れて固定しボビンに UEW 線を巻きます。ボビンのサイズは大きめに設計しているので袋入りの 20m 程度のものであれば全てボビンに巻ききれると思います。

  4. ボタンと固定パーツの取付け
     ボタンパーツを本体(筒状のパーツ)の内部からボタン用窓にはめ込んだ後にボタン固定パーツに UEW 線を通した状態で固定パーツが本体上面と面一になるまでに入れます。ボタン部品とボンタン固定パーツは下図のようにお互いの平らな部分が接するようにしてください。

    ※固定パーツを取り出す際は固定パーツの末端にある溝に爪をかけて引っ張ると取り出せます。

    ボタンと固定パ^るの取付け


  5. ペン先の取付け
     本体にボビン部分を取り付けます。取付方向は上記の写真を参考にしてください。強く押し込むと抜くのが大変になるので軽く押し込むようにしてください。
     ボビン取り付け後に、ペン先に UEW 線を通しペン先を本体に軽くねじ込みます。

    ペン先の取付け



■上記のワイヤリングペンは実際に使ってみて便利だったのでBOOTHで配布することにしました。


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フィラメント乾燥機 [3D_printer]

 今回はフィラメント乾燥用にかなり前(2022年3月27日)に購入したフードドライヤーを使って初めてフィラメントを乾燥してみましたのでメモしておきたいと思います。通常はシリカゲルを入れた密閉容器にフィラメントを入れプリンタに接続した状態にしているのですが、今回は交換で取り外したフィラメントをシリカゲルと共にチャック付きビニール袋に入れていたことで湿気を含んでしまったようです。

 買い置きしていたフードドライヤーは下の写真の RoomMate というものです。
 1時間~12時間(1時間刻み)でタイマー設定が可能で、温度は35℃~70℃範囲を 5℃単位で設定できます。当時の購入価格は ¥4,480 でしたが先程 Amazon で確認したところ ¥5,280 に値上がりしていました。

フードドライヤー RoomMate


 乾燥対象のフードを乗せるためのトレイが5段ありますが、スプールに巻かれたフィラメントが入るようにするため、3段分のトレイの中央をくり抜きました。
 2つのトレイをくり抜かずに残したのは最下段にくり抜き無しのトレイが必要なこととこの乾燥機が SLA 方式の3Dプリンタの造形物の乾燥にも使用可能なためです。また、側面部分に格子状の部分を残してくり抜いたのは残った格子部に金網等を引掛けることで本来のフード乾燥機として使う余地を残したかったからです。
 最初はニッパーで格子の部分を切断しようとしましたが、ひびが広がりそうだったので今は使用していない古い半田ごてにK型(ナイフのような形状)のこて先を付けて溶断しました。

トレイ加工


 実際にフィラメントを入れた状態が下の写真です。最下段のトレイは従来のものを置き、その上に中央をくり抜いたトレイを3段重ねています。なんかこう様になっていますね^^

フィラメント格納後の状態


 Amazon で探した専用のフィラメント乾燥機の説明には今回の乾燥対象の PETG は 65℃ で2時間 と書いてあったので 65℃で3時間乾燥してみました。
 乾燥後に気が付いたのですが、フィラメント種別による設定温度はそれぞれの乾燥機の説明でもばらつきがあり、「フィラメントの乾燥で気を付けておきたい3つのこと」を参照させて頂くとスプール自体も 65℃ あたりから熱でたわむことがあるようなので PETG フィラメントの乾燥温度は 60℃ あたりが適切だったかもしれません(今回はスプールのたわみは殆ど発生しませんでした)。

 フィラメント乾燥の Before/After での造形例を下図に示します。
 もともと円錐形の先端部分がだまの状態になることからフィラメントを乾燥しようと思ったのですがだまの状態はあまり改善しませんでした。しかし、乾燥後は(新品だった頃と同様に)表面の艶が増すという効果を確認できました。

乾燥前(上)と乾燥後(下)の造形比較(その1)


 上図のだまは積層したフィラメントが固まる前に次の積層が始まることで下層のレイヤが巻き込まれてだまになるのではないかと推測しています。対策としてはクーリングファンの強化もしくは複数同時に造形することで次のレイヤの積層までの時間を長くする等が考えられます。
 しかし後者の場合、このような縦長の形状での複数の造形では PETG での糸引き問題が出やすくなるので、暫定対処として円錐形を縦に2分割して造形後に接着剤で貼り合わせることにしました。

 フィラメント乾燥前後の造形状態の比較の2つ目のサンプルとして六角柱の造形例が下図になります。
 写真では判り辛いかもしれませんが、乾燥後の方が表面の光沢が増しています(というか乾燥前のものは艶消しのような状態)。

★追記 2024/04/20 {
 上記のだま対策として書いた後者の複数造形による対策を試してみました。乾燥前に試した時には PETG で発生しやすい糸引きが多数発生しのたのですが、乾燥後では糸引きはほとんど発生せず、かつだま問題も解消しました。
}

乾燥前(上)と乾燥後(下)の造形比較(その2)


 おまけで乾燥前のフィラメントの重さを計った時の写真を貼っておきます。乾燥後にも重さを計ろうと計画していましたが、いざ乾燥が終了してみるとなるべく外気に晒さないようにと焦って作業した為、重さを計るのをすっかり忘れてしまいましたw

乾燥前のフィラメントの重量


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電子メモパッドのペン作成 [3D_printer]

 思い付いたことを直ぐにメモできるように普段から手元にメモ用紙を置くようにしています。数か月前にダイソーで電子メモパッド(以降、メモパッドと記す)を見つけたので購入してみました。細かい文字は書き辛いですが中々便利でメモ用紙の消費が少なくなりました。

 先程、このメモパッドのペンが行方不明になり部屋の中の何処かにあるはずなのに中々見つかりません。
 探している時は「そういえばペンを本体に繋げるように穴が開いていたなぁ」と思いましたが、いざ見つかってみると紐が邪魔になりそうで繋ぐ気にはなれません。

 そこで例え紛失しても困らないように3Dプリンタで作ってみました。そのまま似せて作るのもなんなのでちょっとアレンジしてみました。

メモパッド用のペン(CAD画面)


 このメモパッドは 500 円で電気的に消去できます(部分的な消去や書換えは不可)。

メモパッドとペンたち


 下の写真の上側が今回作成したペンです。手で持つ部分が六角なので手に馴染みます。こんなものがすぐ作れるなんて便利な世の中になったものです。

メモパッドとペンたち


 DesignSpakMechanical で作成していますが、二つのパーツが結合エラーになる状態で STL ファイル化したためか読込み時にエラーが出るかもしれませんが私の環境では出力できました。


 下記からSTLファイルをダウンロードできます。商用利用以外であれば使用可能とします。
[改版履歴]
★Ver0.03 20223/10/01
 STLファイルを修正し、読込み時にエラーが出なくなった
★Ver0.05 2023/10/05
 若干変更(サポート材最小化にも対応)


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はんだ吸取器の製作(その2) [3D_printer]

 前回の記事で市販の安価なはんだシュッ太郎もどきと小型ポンプを使ってはんだ吸取器を自作するための3Dプリンタで出力する部品の設計について書きましたが、今回は部品を組み立てて実際に半田吸取り試験をやってみましたので状況を記録しておきたいと思います。

 下の写真は3Dプリンタで出力した部品です。試作中にフィラメントが無くなったので途中から緑色の PETG フィラメントに変えました。透明のフィラメントで作ったのがテール部品で緑色はグリップ部品です。

3Dプリンタで出力した部品


 下の写真はグリップ部品の内面です。最初は外側の面を奇麗に出力するために外面を上にして出力していましたがサポート材を取るのが大変(指にまめができた)なので途中から内面を上にして出力するようにしました。サポート材が少ない分、出力時間が短くなります。

3Dプリンタで出力した部品(グリップ内面)


 下の写真は今回自作したはんだ吸取器(以降、チュー太郎と記す)の部品です。左端のチューブはポンプとテール部品を繋ぐためのシリコンチューブです。写真以外の部品としてポンプ用のACアダプタ(12V)とテール部品に入れるスチールたわしを使いました。

★追記 2023/07/05 {
 主要部品の購入価格(送料込み)は下記の通りで非常に安価です。
  はんだシュッ太郎もどき:645円
  バキュームポンプ:573円
  シリコンチューブ 1m:117円
}
自作はんだ吸取器(チュー太郎)の部品


 組み立てた状態が下の写真です。ポンプが収まるギリギリのサイズにしたため、組立が結構大変でした。グリップはもっと長い方が握り易いので、全体的にもっと大きくした方が良かったかも知れません。
 グリップからはポンプの排気口も出ているのでシリコンチューブを排気口に繋ぎ変えれば、簡易的な掃除として吸引した半田を吐き出すことができるかもしれません。

自作はんだ吸取器(チュー太郎)完成写真1


 下は右側の写真です。右側にはネジ穴が無いことを除けば、左側とほぼ対称な形状になっています。光る部分がある場合の写真は難しいですね^^;

自作はんだ吸取器(チュー太郎)完成写真2


 実際使ってみると 110V(36W) 用のヒーターの為か、熱量が不足気味な印象を受けました。ワット数は電圧の二乗に比例するので 100V では 30W 相当だと思います。ヒーター部分を分解して25%程度に銅線を巻いてワット数を上げるハックもできるようなので気が向いたら試してみたいと思います。

 動画付きで Twiiter に投稿したメッセージを貼っておきます。




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はんだ吸取器の製作(その1) [3D_printer]

 「電動こて先クリーナー」の連載記事ではブラシ式のこて手先クリーナーの製作について書きましたが、今回は電動はんだ吸取器の製作について書いてみたいと思います。

 実は AliExpress で下の写真の上側に映っている電動式の半田吸取器を購入したのですが、半田吸引用のソレノイドがうまく動かなかったことから返金手続きを行いました。そこで写真の中央に映っているポンプと下側に映っているバネ動作のワンショット式の吸取器を使ってはんだ吸取器を自作することにしました。合金チュウチュウと命名します(イメージ悪すぎ?w)
★変更 2023/07/01 {
 イメージ悪すぎなので名称をチュー太郎に変更します。
}

購入したはんだ吸取器と自作用の部品


 自作と言っても市販のサンハヤト製はんだシュッ太郎もどき(以降、シュッ太郎もどきと記す)とポンプを組み合わせただけではあるのですが、どれくらいの効果があるものなのか評価したいという気持ちもあります。
 3D CADで設計したものが下図になります。ポンプの部分はグリップ部分に収めました。グリップは細くしたかったのでポンプを格納できる最小限のサイズにしている関係上、角を丸めるフィレット量が少なくなり、少し角張った印象があります。

はんだ吸取器の外観(CAD画面)


 内蔵部品は下図のように収めました。後方奥にある円柱形のものはポンプの電源用のDCプラグです。

はんだ吸取器の内蔵部品位置(CAD画面)


 ポンプのモーターの固定は下図のように内部にサポート用の突起を設けました。

グリップ部内側の構造(CAD画面)


 シリコンチューブでポンプの吸引口とシュッ太郎もどきのテール部を連結します。テール部分にシリコンチューブを取り付けるために作成した部品が下図になります。左側はネジ山を切って取付てあるので取り外し可能で、この部分にスチールたわしを詰めて吸取った半田をフィルターし、ポンプへの半田屑の流入を防止します。
 中央にある溝は気密性を確保するためのゴム製リングパッキン用のもので、パッキンはピストン部についていたものを流用します。

吸い込み部のフィルタ構造(CAD画面)



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