Z80GalCompactの制作(その4)ケース作成2 [Z80]
前回の記事で FDM 方式の 3D プリンタで透明の PETG フィラメントを使ったケース製作について書きました。
ケース作成対象の基板は自作の小型 Z80 基板(Z80GalCompact)で基板の写真を再掲します。
透明フィラメントとは言ってもケースの中身が透けて見えるわけでは無いのでもっと透明なケースと作りたいと思い久々に SLA(光造形) 方式の3D プリンタ(ELEGOO MARS)を弄ってみました。
SLA 方式プリンタ対応として FDM 方式用に設計したデータに下記の変更を行いました。
久々に立ち上げてバージョンが少し古いですが、スライサーでスライスした結果、出力時間が 6 時間半程でした。
出力した結果が下図になります。
光造形式で透明レジンを使って出力してもそのままではすりガラス程度の透明度なので紫外線による劣化対策も兼用で下記の UV カット塗装を塗布しました(久々にエアブラシを使用)
使用した塗料はクレオス Mr.COLOR シリーズの GX112 です。うすめ液で2倍程度に薄めてエアブラシで吹き付けました。
塗布後の写真が下図になります。かなり透明になりました。よく見ると少し黄ばんでいます。使用したレジンは 1年以上前に購入した ANYCUBIC の BASIC タイプのクリアレジンです。今では黄変しないクリアレジンもあるようですが高価です。SLA 方式用のレジンはまだ需要が少ないためか予想に反してあまり低価格化していませんね。
黄変に関しては二次硬化後に更に紫外線を受けると段々黄変するものと想像していましたが、二次硬化直後でも少し黄変していました。
記録として写真も撮っていたのですが、A4 のコピー用紙の上で撮影した結果、白黒写真のようになり露出のバラツキによる変化の方が大きくて写真での検証は出来ませんでした。
私の環境では二次硬化は4~5分程度がいいようです。30 分以上二次硬化したものは更に(感覚的には2倍位)黄ばんでいました。
ケースに基板を入れた状態でのフロントパネル部分が下図になります。USB コネクタのホールが若干大きいですね^^;
リア部分の開口部が下図です。リセットスイッチ用のポールには UV カットを塗布していないのですりガラス状態です。
リア側にキャップを取り付けた状態が下図になります。キャップは FDM 方式の時と同様に嵌め込み式です。キャップは水平方向で造形しているので透明度が高いですね。
プリント基板を入れた状態でのトップ面が下図になります。内面に施した刻印もくっきり見えて、実装部品も目視できます^^
ボトム面が下図になります。こちらも実装部品がぼんやり見えます。
下の写真はパソコンに USB ケーブルで接続して CP/M を起動中の状態の写真です。基板上に実装している緑の LED が点灯しているのがはっきり見えますね。
以上、SLA 方式での クリアレジンを使って出力したケースに UV カット塗装を施したケースの作成について書きました。時間と手間はかかりますが、透明度が高くて綺麗に仕上がりました。黄変しないクリアレジンも欲しくなってしまいますね。
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FDM 方式の 3D プリンタで出力したケース |
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ケース作成対象の基板は自作の小型 Z80 基板(Z80GalCompact)で基板の写真を再掲します。
Z80GalCompact(トップ面) | Z80GalCompact(ボトム面) |
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透明フィラメントとは言ってもケースの中身が透けて見えるわけでは無いのでもっと透明なケースと作りたいと思い久々に SLA(光造形) 方式の3D プリンタ(ELEGOO MARS)を弄ってみました。
SLA 方式プリンタ対応として FDM 方式用に設計したデータに下記の変更を行いました。
- 精度が高い
FDM 用では0.2~0.4 mm のマージンを取って設計していましたが SLA 用にマージンを半分に変更しました - 強度が弱い
レジンの種類に依存する面もありますが、FDM 方式の PETG フィラメントに比べて UV レジンは強度が低いのでケースの肉厚を 1.0 mm から 1.6 mm に変更しました
久々に立ち上げてバージョンが少し古いですが、スライサーでスライスした結果、出力時間が 6 時間半程でした。
SLA プリンタ用のスライサー |
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出力した結果が下図になります。
SLA プリンタでの出力結果 |
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光造形式で透明レジンを使って出力してもそのままではすりガラス程度の透明度なので紫外線による劣化対策も兼用で下記の UV カット塗装を塗布しました(久々にエアブラシを使用)
使用した塗料はクレオス Mr.COLOR シリーズの GX112 です。うすめ液で2倍程度に薄めてエアブラシで吹き付けました。
UV カットアクリル塗料 |
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塗布後の写真が下図になります。かなり透明になりました。よく見ると少し黄ばんでいます。使用したレジンは 1年以上前に購入した ANYCUBIC の BASIC タイプのクリアレジンです。今では黄変しないクリアレジンもあるようですが高価です。SLA 方式用のレジンはまだ需要が少ないためか予想に反してあまり低価格化していませんね。
UV CUT 塗布後の状態 |
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黄変に関しては二次硬化後に更に紫外線を受けると段々黄変するものと想像していましたが、二次硬化直後でも少し黄変していました。
記録として写真も撮っていたのですが、A4 のコピー用紙の上で撮影した結果、白黒写真のようになり露出のバラツキによる変化の方が大きくて写真での検証は出来ませんでした。
私の環境では二次硬化は4~5分程度がいいようです。30 分以上二次硬化したものは更に(感覚的には2倍位)黄ばんでいました。
ケースに基板を入れた状態でのフロントパネル部分が下図になります。USB コネクタのホールが若干大きいですね^^;
Z80GalCompact のケース(フロントパネル部) |
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リア部分の開口部が下図です。リセットスイッチ用のポールには UV カットを塗布していないのですりガラス状態です。
Z80GalCompact のケース(リアの開口部) |
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リア側にキャップを取り付けた状態が下図になります。キャップは FDM 方式の時と同様に嵌め込み式です。キャップは水平方向で造形しているので透明度が高いですね。
Z80GalCompact のケース(リアパネル部) |
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プリント基板を入れた状態でのトップ面が下図になります。内面に施した刻印もくっきり見えて、実装部品も目視できます^^
Z80GalCompact のケース(トップ面) |
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ボトム面が下図になります。こちらも実装部品がぼんやり見えます。
Z80GalCompact のケース(ボトム面) |
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下の写真はパソコンに USB ケーブルで接続して CP/M を起動中の状態の写真です。基板上に実装している緑の LED が点灯しているのがはっきり見えますね。
動作中の Z80GalCompact |
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以上、SLA 方式での クリアレジンを使って出力したケースに UV カット塗装を施したケースの作成について書きました。時間と手間はかかりますが、透明度が高くて綺麗に仕上がりました。黄変しないクリアレジンも欲しくなってしまいますね。
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Z80GalCompactの制作(その3)ケース作成 [Z80]
前回の記事で書いたように自作の小型 Z80 基板(Z80GalCompact)で CP/M-80 が動くようになったのでケースを作ってみました。今回はこのケース作成状況を書いてみたいと思います。
部品実装後の Z80GalCompact 基板の写真を再掲します。
回路設計 CAD の DedignSparkPcb から DesignSparkMechanical に 3D データを引き継ぎ、コネクタ部や IC の高さなどを調整したものが下図になります。このデータを基にしてケースを設計していきます。
「Pic24MC68Kマイコン(その8)ケース作成」の記事で書いた Pic24MC68K のケース作成時のノウハウを採用して、リセットスイッチ部は C リング方式にし、キャップはインサートナットを使わず、嵌め込み式にしました。
下図は 3D プリンタで出力したケースのフロントパネル部分です。積層間強度が高く、ある程度の柔軟性もある PETG フィラメントを使いました。フロントパネル部分はケース本体と一体化して出力しています。
USB コネクタと SD カード部のホールサイズもピッタリですね。
下図がリア部分の開口部です。プリント基板の両端を溝でサポートするようにして固定しました。リセットスイッチ用のポールの上面はケース面と面合せしています。
リア側にキャップ取付後の状態が下図になります。キャップはネジ止めではなく、PETG フィラメントの柔軟性を利用した嵌め込み式です。
キャップ取付後のトップ側が下図になります。ケースに内面に "Z80Gal Compact" の文字を 0.2mm の深さで書いています。少し見辛いですが透明のフィラメントなので外側からでも文字が見えます。左下のリセットスイッチは上面と面合せし、目立たないようにしています。
下図はボトム面です。GAL22V10D を PLCC ソケットに入れると想像以上に高さがあり、ケース全体を厚くするのも嫌なので部分的に高さを変えています。
下の写真は USB ケーブルでパソコンと接続して動作中の状態です。透明のフィラメントを使っているのでケースに入れた状態でも基板上の LED の点灯状態を目視出来ます。
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部品実装後の Z80GalCompact 基板の写真を再掲します。
Z80GalCompact(トップ面) | Z80GalCompact(ボトム面) |
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回路設計 CAD の DedignSparkPcb から DesignSparkMechanical に 3D データを引き継ぎ、コネクタ部や IC の高さなどを調整したものが下図になります。このデータを基にしてケースを設計していきます。
回路設計環境からインポートした基板の 3D データ |
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「Pic24MC68Kマイコン(その8)ケース作成」の記事で書いた Pic24MC68K のケース作成時のノウハウを採用して、リセットスイッチ部は C リング方式にし、キャップはインサートナットを使わず、嵌め込み式にしました。
リセットスイッチ部の部品 |
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ケースの全体の CAD 表示 |
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下図は 3D プリンタで出力したケースのフロントパネル部分です。積層間強度が高く、ある程度の柔軟性もある PETG フィラメントを使いました。フロントパネル部分はケース本体と一体化して出力しています。
USB コネクタと SD カード部のホールサイズもピッタリですね。
Z80GalCompact のケース(フロントパネル部) |
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下図がリア部分の開口部です。プリント基板の両端を溝でサポートするようにして固定しました。リセットスイッチ用のポールの上面はケース面と面合せしています。
Z80GalCompact のケース(リアの開口部) |
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リア側にキャップ取付後の状態が下図になります。キャップはネジ止めではなく、PETG フィラメントの柔軟性を利用した嵌め込み式です。
Z80GalCompact のケース(リアパネル部) |
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キャップ取付後のトップ側が下図になります。ケースに内面に "Z80Gal Compact" の文字を 0.2mm の深さで書いています。少し見辛いですが透明のフィラメントなので外側からでも文字が見えます。左下のリセットスイッチは上面と面合せし、目立たないようにしています。
Z80GalCompact のケース(トップ面) |
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下図はボトム面です。GAL22V10D を PLCC ソケットに入れると想像以上に高さがあり、ケース全体を厚くするのも嫌なので部分的に高さを変えています。
Z80GalCompact のケース(ボトム面) |
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下の写真は USB ケーブルでパソコンと接続して動作中の状態です。透明のフィラメントを使っているのでケースに入れた状態でも基板上の LED の点灯状態を目視出来ます。
動作中の Z80GalCompact |
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Z80GalCompactの制作(その2)部品実装 [Z80]
PCB設計の記事から時間が経ってしまいましたが、状況について書きます。実は最初の部品実装では動作しなかった(USBドライバがエラーになった)ので暫く放置していました^^;
折角基板を作ったので別の基板で再チャレンジして、うまく動作したので作業記録の意味も兼ねて記録しておきたいと思います。
今回プリント基板化した Z80GalCompact は Z80 を高速(20MHz)で動作させ、シリアルやSDカードのインターフェース(SPI)をソフトウェアで実現することでチップ数の少ない Z80 ボードを作成する(詳細は Z80GALの構想の記事を参照)という Z80GAL を元に 表面実装部品を多用することで コンパクトな Z80 基板を作りたいという目的で開発しています。結果としてUSBシリアル変換 IC も実装した上で想定通りコンパクトな基板ができました。
出来上がったプリント基板のトップ面が下の写真になります。
設計時のミスで Z80 の40ピン のDIP穴径が 0.5mm と狭く丸ピンソケットがかろうじて入る状態でした^^;
また、DIP 間の幅も微妙に大きくてソケットが入れ辛い状態だったので今回はシングルラインの丸ピンソケットを使いました(実は最初はCPUを直付けで半田付けしうまく動かなかったのですが、信号を調べ辛かったので別の基板にソケットを使って実装し直しました)
プリント基板のボトム面が下の写真です。
基板サイズを小さくするためにトップ面の DIP ソケットのピンが右側中央のメモリIC(IC2)の直下にあり、また、左側上部の GAL の PLCC ソケットの直下にも DIP のピンを配置していて、部品実装時には基板面からの出っ張りを無くすために該当するピンをカット後に半田付けしました。
また、左上の 28 ピン PLCC の左側上部にある ダイオード(D5) が PLCC のソケットと干渉するため、ヤスリでソケットを削りましたw
★追記 2022/11/09 {
PLCC パッケージはソケット無しで直付けも可能なので GAL のロジックが最終確定したらソケット無しで実装できます。
}
PLCC ソケット自体の半田付けは予備半田後に昨年購入した温度調整機能付き半田ごてに細いこて先を付けて行いました。
このように通常の部品実装の場合よりも色々と手が掛かりましたが作業自体が楽しいので少し得をしたような気もしますw
色々と手は掛かりましたが、出来上がった基板は想定通り小型で CP/M-80 も動くCPUボードができました。部品実装後の写真も貼っておきます。トップ面は中々の実装密度で空きスペースが殆ど無いですね。
ボトム面にも色々な SMD 部品が実装されています。
プリント基板化し動作実績のある Z80GAL の回路に USB シリアル変換用 IC(PL2303)を追加した回路構成なので想定通り CP/M-80 が動きました^^
★追記 2022/05/08
youtubeに説明動画をアップしたのでリンクを貼っておきます。
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折角基板を作ったので別の基板で再チャレンジして、うまく動作したので作業記録の意味も兼ねて記録しておきたいと思います。
今回プリント基板化した Z80GalCompact は Z80 を高速(20MHz)で動作させ、シリアルやSDカードのインターフェース(SPI)をソフトウェアで実現することでチップ数の少ない Z80 ボードを作成する(詳細は Z80GALの構想の記事を参照)という Z80GAL を元に 表面実装部品を多用することで コンパクトな Z80 基板を作りたいという目的で開発しています。結果としてUSBシリアル変換 IC も実装した上で想定通りコンパクトな基板ができました。
出来上がったプリント基板のトップ面が下の写真になります。
Z80GalCompactプリント基板(トップ面) |
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設計時のミスで Z80 の40ピン のDIP穴径が 0.5mm と狭く丸ピンソケットがかろうじて入る状態でした^^;
また、DIP 間の幅も微妙に大きくてソケットが入れ辛い状態だったので今回はシングルラインの丸ピンソケットを使いました(実は最初はCPUを直付けで半田付けしうまく動かなかったのですが、信号を調べ辛かったので別の基板にソケットを使って実装し直しました)
プリント基板のボトム面が下の写真です。
Z80GalCompactプリント基板(ボトム面) |
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基板サイズを小さくするためにトップ面の DIP ソケットのピンが右側中央のメモリIC(IC2)の直下にあり、また、左側上部の GAL の PLCC ソケットの直下にも DIP のピンを配置していて、部品実装時には基板面からの出っ張りを無くすために該当するピンをカット後に半田付けしました。
ディバイス直下の DIP ピンの事前カット状況 |
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また、左上の 28 ピン PLCC の左側上部にある ダイオード(D5) が PLCC のソケットと干渉するため、ヤスリでソケットを削りましたw
★追記 2022/11/09 {
PLCC パッケージはソケット無しで直付けも可能なので GAL のロジックが最終確定したらソケット無しで実装できます。
}
PLCC ソケットの切削 |
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PLCC ソケット自体の半田付けは予備半田後に昨年購入した温度調整機能付き半田ごてに細いこて先を付けて行いました。
PLCC ソケットの半田付け |
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このように通常の部品実装の場合よりも色々と手が掛かりましたが作業自体が楽しいので少し得をしたような気もしますw
色々と手は掛かりましたが、出来上がった基板は想定通り小型で CP/M-80 も動くCPUボードができました。部品実装後の写真も貼っておきます。トップ面は中々の実装密度で空きスペースが殆ど無いですね。
Z80GalCompact 部品実装後(トップ面) |
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ボトム面にも色々な SMD 部品が実装されています。
Z80GalCompact 部品実装後(ボトム面) |
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プリント基板化し動作実績のある Z80GAL の回路に USB シリアル変換用 IC(PL2303)を追加した回路構成なので想定通り CP/M-80 が動きました^^
Z80GalCompact での CP/M-80 起動画面 |
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★追記 2022/05/08
youtubeに説明動画をアップしたのでリンクを貼っておきます。
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