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半田吸取り線カッターの製作 [3D_printer]

 2024/06/10 に HAKKO から WICKカッター FT-630 なるものが発売されました。業界初となる半田吸取り線の自動カッターです。

 今まで半田吸取り線をニッパーでカットしていましたが、自動カッターがあれば確かに作業効率が改善されそうです。しかし、価格が1万円以上なので「電動こて先クリーナーの製作」の時のように自作してみたいものです。
 HAKKO の製品では吸取り線をカット後に吸取り線を保持することで手で引っ張り出す手間も無くなると謳っていますが、吸取り線の引き出しは片手で十分出来るので保持機能に関してはあまりメリットを感じません。
 今回は電動での自動動作にはせずに極めて原始的な、しかしそれなりに作業効率を改善できるものにしたいと思います。題して半田吸取りたカッター(仮称)です。


1.構成部品
 使用するメインの部品はローソン100円ストアで163円で購入した爪切りです。桃色でコスメティック ツールと書かれていて同じツールでも別領域の物ですねw

未開封の100均の爪切り


 中身は下の写真のようにツートンカラーの爪切りです。

100均の爪切り



 爪切り単独では半田吸取り線カッターとしては使い辛いので爪切りの柄に付ける下図のアタッチメントを作りました。簡単な部品ですがパチっと固定できるようにするために何回か試行錯誤しました。

半田吸取り線カッター用の爪切りアタッチメントのCAD設計画面


 PETGフィラメントで出力したものが下の写真です。

半田吸取り線カッター用のアタッチメント



2.完成物
 下の写真は完成した半田吸取り線カッターです。笑っちゃうくらい単純な構造ですね。自動動作ではないので冒頭で紹介した HAKKO の商品よりは使い辛そうですが、慣れればほぼ同等の作業効率になるのではないかと期待しています。

半田吸取り線カッター(完成写真)


 X(旧Twitter)に投稿したメッセージに付けた動画を貼っておきます。



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半田ケースホルダの製作 [3D_printer]

 X(旧Twitter)のタイムラインで半田ごてを持つ手の人差し指に装着する半田を供給する治具を見かけました。半田の押し出し部分はFDM方式の3Dプリンタのエクストルーダーのようですね。



 ピストル型で半田供給機能ある半田ごても市販されていますが、確かに便利そうです。
 半田付けをしている際に腕の本数が足りなくなり、半田ケースをくわえることもたま~にありますw
 半田の押し出し機能までは無くてもいいのでもっと簡易的なものということで愛用の半田ケースを指でホールドできる治具を作ってみました。

半田ケースホルダのCAD設計画面


 半田ごてを持つ右手の人差し指に付けるより、左手の人差し指に装着する方が(ある程度の慣れは必要そうですが)便利そうです。シンプルな構造ではありますが利便性はそれなりにありそうです。

半田ケースホルダの使用例


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GreenPAKで遊ぶ(その7)導通チェッカ [GreenPAK]

 SLG46826 単独で有用なツールを作るとしたら何がいいか考えてみると動作の柔軟性からしてマイコンにはかなわないと思ってしまいます。マイコンはソフト制御なので動作に柔軟性がありますが、ソフト作成の手間がかかる(でもソフト作りは楽しい)し、電池駆動の場合、スリープ時の省電力化にも気を使います。逆に SLG46826 であれば、回路作成は必要ですがソフトが不要であり、省電力化もあまり気を使わなくてもよさそうです。
 試しに簡単な回路でコンパレータ等の使用コンポーネントをパワーダウン状態にして消費電力を測定してみました。テスタの uA レンジで測定したので精度は高くないと思いますが待機時の消費電流は 0.2uA 程度でした。最初、簡単に 0.2uA とは中々凄いと思いましたが、I2C 接続を外したら 10uA 以上だったのであぁ I2C ピンから給電されていたのかと一旦落胆し、その後 I2C ピンをプルアップすることで 0.2uA に戻ったので電池駆動の導通チェッカを設計してみることにしました。


1.導通チェッカの仕様
 回路チェック用導通チェッカと言えば ChaN さんの回路内導通チェッカが有名ですが、これを参考にして次の仕様にしました。
  • 電源は3Vのボタン電池(CR2032)を使用する。
  • 被測定側への印加電圧は 0.5V 程度とする。
  • 60秒間程度操作が無い場合、自動的にスリープ状態に移行する。
  • スリープ状態時にプローブをショートすることでウェイク状態になる。
  • 80Ωより小さい場合、ブザーを鳴らし(500Hz)、更に40Ω以下でブザーの音色を変える(1kHz)。

 上記の感度はもう少し低い抵抗値にしたかったのですが、コンパレータのリファレンスの最小値が 32mV であることから上記の値にしました。コンパレータはリファレンスを 32mV のものと 64mV の二つ使用することにしました。
 また、ウェイクアップ用の専用のスイッチを設けずにウェイクアップするために、プローブへ給電する分圧抵抗のグランド側をデジタル出力で駆動し、スリープ時は入力に切り替えることで、プローブ短絡時の立下りエッジでウェイクアップするようにしました。これによりウェイクアップのスイッチを省略しています。


2.回路設計
 設計した回路を下図に示します。OSC0 で 1kHz と 500Hz のブザー用の矩形波を作り、LUT0 でコンパレータの出力により音を切り替えています。CNT1 を one shot モードで動かし、アクティブ(ウェイク状態)で二つのコンパレータと OSC0 をパワーオン状態にしています。

導通チェッカ回路


 外部回路である被測定部分では V3 の矩形波出力で 50 Ωの抵抗をオン/オフ制御することでチェック対象の抵抗値の変動をシミュレーションしています。FET を使いたかったのですが想定通り動かすには色々パラメータの設定が必要そうだったのでトランジスタに変更しました。

 下図がシミュレーション結果です。被測側が 50 Ωパラ接続の状態でブザー用の PIN 19 に 1KHz が出力され、50 Ω単独では 500Hz が出力されていて想定通りの動作になっています。

導通チェッカのシミュレーション結果


★追記 2024/06/24 {
 回路図を追記します。右端の部品はボタン電池(CR2032)のホルダです。

導通チェッカ回路図
}


3.まとめ
 SLG46826 を使ってスリープ機能付き、かつプローブ操作でウェイクアップする導通チェッカが割合簡単に設計できました。テスタで実測した結果、スリープ時の消費電流は 0.2uA 程度でした。今回の作業で感じた SLG46826 の長所と短所を列挙すると
  • 長所
    1. uA 以下の小電流での待機状態を容易に実現できる。
    2. ソフトの作成無しにある程度の動作を実現できる。
    3. 簡単な外部回路もシミュレートできるので動作確認が容易である。
  • 短所
    1. ソフトウェアのような柔軟な動作の作りこみが困難である。
    2. one shot をリトリガラブルにできない(未発見の実現方法がある?)。
    3. 再書き込み可能なチップの選択肢が少ない(今回の用途ならもっとピン数の少ないチップを使いたい)。

 上記の短所 ii のため、導通チェック中に one shot が終了した場合、一瞬ではありますがプローブに 3V が印加される可能性があります。これによりチェック対象の回路が破壊されることはまず無いとは思いますがこの点については未解決のままです。
 尚、コンパレータのリファレンス電圧を 32mV と 64mV に設定しているので計算上は下記のように 80 Ω以下でブザーが鳴り、38 Ω以下でブザー音が高くなるはずです。

 64mV:80 Ω = 0.064/((3-0.064)/3.3-0.064/0.68)
 32mV:38 Ω = 0.032/((3-0.032)/3.3-0.032/0.68)


★追記 2024/06/24
 SLG46826 の機能が余っているので、ボタン電池の電圧が 2.56V 以下になった際に2秒周期で点滅する電池切れ表示用LEDを追加しました。

電池切れLED付き導通チェッカの設計回路 Ver0.02


電池切れLED付き導通チェッカ回路図 Ver0.02


★追記 2024/06/25
 この導通チェッカを手配線で作成しようと思いましたが、ピッチが狭いのでプリント基板化することにしました。背面に背負っているのはボタン電池ホルダです。

電池切れLED付き導通チェッカ基板の3D表示 Ver0.02



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GreenPAKで遊ぶ(その6)逐次比較型A/D変換 [GreenPAK]

 前回の記事で電子サイコロを作り、暫く習作はいいかな~と思っていました。しかし SLG46826 関連の情報をネットで見ていたところ、Single Slope Converter を見つけました。A/D変換の無いマイコンでCRでの充電 or 放電時間を計測して簡易的な A/D にする手法と同様にA/D変換が無い SLG46826 でCRの立ち上がり時間の長さをカウントすることでA/D変換するという試みです。※2024/07/30 文章を一部を修正

 しかし、SLG46826 であれば、抵抗のラダー回路を付けてD/A変換を付加すれば、逐次比較型A/D変換も実現できるのでは・・?


1.今回の課題
 SLG46826 で4ビットの逐次比較型A/D変換を実現します。実用性はあまりありませんがパズルとしては面白そうですね。GreenPAK はある意味、現代版の電子ブロックと言えるかもしれません


2.基本設計
 処理内容はおおよそ次の通りです。
  1. D/A用のデータをゼロクリアする。
  2. D/Aデータの確定対象ビットをMSBとする。
  3. 被測定電圧(+側)とD/A出力の比較結果(コンパレータの出力)をD/Aデータの確定対象ビットに出力する。
  4. コンパレータの出力を再度確定対象ビットに出力する。
  5. 確定対象ビットをLSB側に1ビットずらし、3,4を繰り返す。
  6. LSBが確定するまで上記処理を繰り返す。
  7. 確定したD/AデータをA/D変換結果として外部出力用 D-FF に保存する。


3.回路設計
 設計した回路を下図に示します。外部のラダー回路も描くことでシミュレータで確認できるので GreenPAK Designer は便利ですね。

逐次比較型A/D変換回路


 タイミング制御用の信号は割合少ないリソースでできたのですが、ラッチが多く必要だったこともあり、下図のように機能要素(コンポーネント or マクロセル)の余りは殆ど無い状態です。

機能要素の使用状況


 シミュレーション結果を下図に示します。上から4段目までがD/Aデータ用 D-FF のクロックです。前述のように1回のA/D変換でコンパレータの出力を2回ラッチします。一番下が試験用のランプ出力の電圧源からの被測定信号です。

逐次比較型A/D変換シミュレーション結果(その1)


 シミュレーション結果の後半が下図です。一番上がD/Aの出力でA/D変換時の変化する様子が面白いですね。2番目以降の4つがA/D変換結果のMSBからLSBまでの4ビット分のデータです。
 このシミュレーションではA/D変換が6回実行されていてそれぞれの結果が、01H, 03H, 06H, 09H, 0BH, 0DH になっています。

逐次比較型A/D変換シミュレーション結果(その2)



4.まとめ
 無謀にも SLG46826 で逐次比較型A/D変換にチャレンジしましたが、なんとか実現できました。最初から「できそうだよなぁ」という感覚はありましたがリソース的にここまで余力がなくなる状態になるとは思いませんでした。最悪は出力データでのヒゲの発生を許容して、D/Aデータのクリア期間が最短になるようにして外部出力用ラッチを省くという対策案も考えていました。
 今回の逐次比較型A/D変換自体は実用的なメリットはあまりありませんが、非常に面白いパズルでした。冒頭にも書きましたがまさに現代版電子ブロックですね。


★追記 2024/06/09
 X(旧Twitter)に投稿したメッセージに添付した動画を貼っておきます。



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GreenPAKで遊ぶ(その5)電子サイコロ [GreenPAK]

 前回の記事では習作として自身にリセット命令を送信するという奇抜な課題でしたが、今回は打って変わって電子サイコロを作ってみたいと思います。

1.今回の課題
 SLG46826G に LED と スイッチを付けて電子サイコロを作ります。条件としては
  • スタートスイッチを押すことで何度でもサイコロを振れるようにする。
  • 表示は LED を使い、本物のサイコロの模様を表現する。
  • 転がっているサイコロが次第に停止する様子も表現する。
  • 回路は可能な限り簡潔なものにする。
 です。


2.基本設計
 今回の課題を実現するために必要と思われる主要な機能について次のようにします。
  • 乱数発生
     K4zuki さんが公開されている GPAK-AppsNote-c55ed02.pdf を参考にさせて頂き、 Pipe Delay を使い、15 ビットの M系列を利用します。
     但し、後段に 15 ビット目の D-FF は置かず、Pipe Delay から 14 と 15 ビット目が出力されるようにします。これを XOR して帰還すると all 0 になり、乱数が生成されないので 14,15 ビットを XNOR し、入力として帰還します。先頭のビットは 1 PIPE OUT として出力されているのでこの先頭ビットと14と15の3ビットを0~7の乱数として扱います。

  • 次第に停止するサイコロの表現
     PGEN を使用します。設定パターンを 1011011101111100 とし、0 の値が出力された時に乱数発生を一時停止し、サイコロの目を表示するようにします。最後の 00 はデリミタとして扱い、00 を検出すると乱数発生を止めサイコロの動きを停止します。乱数の停止時(一時停止も含む)は乱数値が6か7の場合は乱数発生を継続し、5以下になった時点で乱数の発生を停止するようにします。

  • サイコロの LED 制御
     1~6の目を表現するためには LED が7個必要ですが、LED の点灯制御は4ビットで可能です。今回は次のように割り振ります(番号は SLG46826G のピン番号)。
     19 18   17 16 17   18 19 

3.回路設計
 今回作成した回路を下図に示します。機能の割にはかなりコンパクトにまとまったのではないでしょうか? もし汎用ロジック IC で組んだらかなりのチップ数になると思います。

電子サイコロの回路


 電源は 3.3V を使用して、それぞれの LED 制御用の 16~19 ピンには LED と直列に 2.7k の電流制限抵抗を接続後、GND に接続します。スタート入力用の1ピンはスイッチを介して GND に接続します。

 下図はシミュレーション結果です。

電子サイコロのシミュレーション結果


 尚、今回作成した GreenPAK Designer の設計ファイルはここからダウンロードできます(商用利用以外であれば自由に使用可能)。


★追記 2024/06/08
 X(旧Twiiter)に投稿したメッセージに添付した動画を貼っておきます。



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