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両面プリント基板の制作実験(その6) [PIC]

 この辺で今まで試みてきたプリント基板自作でのそれぞれの方法における現状をまとめておきたいと思います。

 まず、目標としているパターンの精度についてですが、PIC16F88 の SSOP パッケージを使うことを前提としているのでピン間隔が 0.65mm のパターンが作れる精度が目標です。

 このPIC16F88の SSOP パッケージ品は結構前に秋月電子通商さん(秋葉原店)で購入したものですが秋月さんのWEBサイトを見たら今は販売していないようです・・ということは半田付けまで試せるのは1回こっきり?? ^^;

 Microscope でICパッケージのピンの部分を撮ったものが下の写真で、確かにピン間 0.65mm くらいです(右側の境界線が実際より少し右側になったので計測値は若干大きめに出ている)。

SSOPパッケージのピン間



 初めから目標が少し高かったような気もしますが、色々試行錯誤したおかげで今ではこれよりピン間が2倍サイズのハーフピッチであれば作る自信があります。


 初めにページプリンタのトナー転写方式ですが、「両面プリント基板の制作実験(その3)」と「その4」の記事で紹介したオブラートを使った独自の転写方法であるオブラート転写方式を検討中です。
 この方法は転写時に紙を剥がす工程が楽なのとトナーが100%転写されるという特徴があります。通常の転写方式よりもオブラートをコピー用紙に張る作業が追加になりますが作業的には簡単なものです(それより紙を剥がす作業がメチャ楽になる)。

 但し、オブラートを張った後にまだ熱くなっていないラミネータを通すのでラミネータが必要になります。
 ラミネータではなくローラーのようなものでも代替えできるかもしれませんが、他の転写方式の場合でもアイロンよりはラミネータを使った方が安定した結果が得られているので転写方式でプリント基板を作るのであればラミネータはあった方がいいと思います。

 オブラート転写方式でエッチングしたサンプルが下の写真です。
 ページプリンタ(NEC製 5600C)の出力は小さめに印刷されるので 1.05%倍の出力にする必要があることが後から判りました・・

オブラート転写方式 拡大写真


 右側の拡大写真は SSOP の右下のピン部分の拡大です。パターン幅は 約0.235mm で SSOPのピン間の隙間は 0.201mm になっています。(因みに断線している部分はもっとスカスカになっている)

 転写時に位置合せのために四隅に貼ったマスキングテープのため、四隅に残った銅層をなくすためにエッチング時間がかなり長すぎたこともあり、3ヶ所程度、断線が発生しました。エッチング時間を調整すれば実用可能な気がします。

★2017/10/30 追記
両面プリント基板の制作実験(その7)オブラート転写方式」にオブラート転写方式によるプリント基板作成の概要を書きました。


 次に CNC でのパターン作成状況ですが、「CNCルーターでのエンドミルの回転ブレ対策」で書いたようにエンドミルの回転ブレを 0.04mm 程度まで改善できたのでプリントパターンを切削してみました。パターンデータの作成環境は DesignSparkPCB + FlatCAM です。
 NCデータ作成方法の概要は「CNCミニルーターの購入(その4)」を参照してください。

 CNCで切削したサンプルが下の写真です。
 経費節約のため片面の紙フェノール基板で実験しています^^;

CNC 切削パターン例


 部分的に拡大したものが下の写真です。
 良好な部分は想定通り約 0.20mm の切削幅(写真は見づらいですが0.195mm)が実現できていますが、NG部分では 切削幅が 0.256mm に広がっていて切削に挟まれたパターンが破れています。
 これは基板面が水平ではなく、深堀された部分の切削幅が広がっているためだと思います。
 因みにこれらの切削部分のNCデータを確認したところ、少しずらして2回切削していました。

 また、四角形で深さ 0.2mm で切削したアクリル板の上に基板を張り付けたMDF合板を乗せているのでZ方向の平面調整はしたはずですが、基板貼り付け部分をよく見ると両面テープで両端を固定したため、中央が少し浮いているようでした ^^;

 どの方式でパターンをつくったにせよ、穴開けと切り出しは CNC で行うつもりなので(もう手作業での穴開けには戻れないw)CNCでパターン作成ができるのが理想ですが、Z軸の調整がまだ微妙な状態です。
 「CNCミニルーターの購入(その5)」の記事で紹介した Estlcam にはオートレベル調整機能もあるようですが、記事にも書いた通りCNCコントローラーのファーム入れ替えが必要となるので乗換える踏ん切りがついていません^^;

★2017/10/16 追記 {
 今使っている GRBLcontrol にもHeightMap という機能がありました。面出ししたアクリル板でZ軸の問題はほぼ解決済みですが、作業性を考慮し、HeightMapの利用に移行する予定です(Z軸のゼロ設定も楽になるしね)
}

良好な部分 NG(SSOPピンへの配線)


★2017/10/30 追記
 「CNCルータでの両面基板制作(その2) Via処理と基板制作」の記事にCNCルーターでのSSOPパッケージを実装したプリント基板作成の概要を書きました。


 最後にUV感光シートでのパターン作成状況を書いておきます。
 国産の感光基板は今後使用する予定はないですが、ebayでUV感光シート(ネガタイプ)が安く売られていたので試してみました。

 「カッティングマシンでプリント基板製作(その4)」の記事では高価な感光専用のアートワーク用インクジェットフィルムを使用しましたが、ebayで購入した インクジェット&ページプリンタ兼用の透明シートが届いたので使ってみました。

 ページプリンタでパターン印刷するとインクジェットよりもかなり濃く印刷されるので上記記事で書いた環境より作業性(感光時間のマージン等)が改善されます。

 最初は90秒で露光したところ、露光後光が当たっていない部分を剥がす作業で剥がれきれない部分があったので露光時間を45秒にしたものです。(露光時間は紫外線照射器具及びマスクシートの透明度等にも依存)

UV感光シートでのパターン作成


 部分的に拡大したものが下の写真でSSOPのピン部分は綺麗にできていますが、右側の写真のように微妙に残っている部分がありました。
 もう少し露光時間を短くすることで改善できると思います(ディスクリート部品のパターンであれば全く問題ないレベルです)。

SSOPピン部分(良好) 上側のソケット取付け部分


 今までの方法の中では今のところ、UV感光シートで作成したエッチングマスクがいいのですが、UVマスクの貼付け(気泡厳禁です)や感光及びエッチング後の処理が必要となり手間なので穴あけまで考えるとやはりCNCで完結するのが理想です。
 オブラート転写方式ももう一歩なので検討を続けます。


 おまけとしてレーザーカッターでのエッチングマスク作成検討中の写真を貼っておきます。
 百均で買ったマニキュアをアセトンで薄めたものを生基板に塗り、レーザーカッターで1辺が 1mm 長の矩形波模様のパターンを書いたものです。
 右側はエッチング後のものを拡大した写真です。

 エッチング部分の幅が 0.155mm ですが、エッチングしきれていない部分も多く、まだまだ先は長そうです。

レーザーカッターで書いたパターン エッチング後の拡大



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