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両面プリント基板の制作実験(その3) [PIC]

 両面プリント基板作成の続編です。
 CNCでのプリント基板作成やレーザーカッターでのプリント基板作成のチャレンジも並行してやっていますw

 今回はトナーの熱転写にオブラートを利用した新アイディア(オブラート転写方式)も紹介します。
 作成する基板は上記のCNCでも試みている赤外線コントローラで下図のような回路になります。

赤外線コントローラ

★2017/06/04 回路図修正(以降のパターン図はアップデートしていません)

 DesignSparkPCBでパターン設計しますが作業の概要としては
  1. パターンの自動生成
     グランドは最後にベタパターンにするので、最初にグランド以外の結線を対象にパターンの自動生成を行う。
  2. 自動生成が失敗した場合
     両面パターンであれば自動生成が1発で成功する場合が多いですが、生成未完の結線が発生した場合は未完となった結線付近の部品間隔を大きくしたり、パターン生成しやすいように回転させたりして自動生成が成功するまでトライする。
  3. グランドのベタパターン化
     基板全体をベタパターン範囲として指定し、グランドをベタパターン化する。
  4. 孤立グランド有無の確認
     グランドをベタパターン化した後、グランドパターンがすべてつながっているか(グランドへ接続される端子どうしが接続されているか)を確認する。孤立しているものがある場合は孤立しないようにパターンを変更する。

 できたパターンが下のキャプチャです。

パターン



グランドベタ化(部品面) グランドベタ化(半田面)


 前回の「両面プリント基板の制作実験(その2)」では ebay で購入した安価な転写シートを使っていました。その後 ebay で別のタイプ(油紙のようなタイプ)の転写シートを見つけ使用してみましたがトナーが転写シート側にもわずかに残り同じような感じでした(高価な転写用ブルーシートは使っていません)

 トナーを完全に基板側に付けるためには水で溶けるような素材を使えばいいのでは? と思い amazon でオブラートを購入(200枚入りで約400円)し試してみました。

トナー転写用に使ったオブラート


 最初は転写シートのようにオブラートをコピー用紙にマスキングテープで張り付けてやってみましたが下の写真のように熱でオブラートが縮んで失敗しました w

オブラート転写失敗


 オブラートをコピー用紙(トレーシングペーパーは縮んでNG)にスティック糊で張り付けることで良好な結果が得られました。
 転写の手順の概要は次のようになります。転写後、基板から紙を分離する作業が非常に楽で、かつトナーは 100% 基板に転写されます。
 この転写方法をオブラート転写方式と命名しました ^^
  1. 転写用紙の準備
     コピー用紙にスティック糊でオブラートを張り付ける。この際なるべくシワにならないようにし、張り付けた後でオブラートを扱いてコピー用紙と一体化させる(多少シワがよっても扱けば大丈夫)。
  2. レーザープリンタでオブラート上にプリントパターンを印刷する。
  3. トナーの転写
     オブラートに印刷されたパターンに基板にあわえた状態で基板の端をマスキングテープ等で固定した後、ラミネータ(アイロンでもいいけどラミネータの方が結果が安定しているし簡単)に数回通す。
  4. 基板からコピー用紙の分離
     水に1分くらい付ければ簡単にコピー用紙を分離できます。基板の表面はオブラートでヌルヌルしているので水に付けながら指先で軽く擦れば簡単にヌルヌルも取れます(パターンを痛めるリスクがほぼゼロ)。


 両面基板の作成なので両面のパターンを位置合せをしているのが下の写真です。(今回は片面づつ転写しましたが、両面を一度に転写した方が作業幸率はよくなります)
 基板に対角線上の二つの穴を開けて針を通して位置合せしています。ベタパターンに数か所小さな穴が発生していたのでマジックで修正しています。 トナーは100%転写できているのでレーザープリンタ(MultiWriter5600C使用)側の問題かもしれません・・

両面パターンの位置合せ


 エッチング後のパターンが下の写真です。半田面側の右下の部分に白く見える部部がありますが、パターン間の隙間が狭かったので削った部分が光って見えています。

エッジング後(部品面) エッジング後(半田面)


 次は穴開け作業ですが、これが結構大変です(手に豆ができるw)。
 しか~~し、CNCルータという秘密兵器があるので最初の位置合せさえきちんとやれば、自動で正確に穴を開けることができます ^^

 参考としてCNCでの基板作成検討時に開けた穴の写真を貼っておきます。viaは 0.4mm のドリルで穴開けしていてポリウレタン線を通してスルホール化する予定です。
 部品の端子部分は 0.6mm のエンドミルで穴開けしています。エンドミルなのでミリングすれば大きな穴を開けることも可能です。

CNCでの穴開け状態(参考)


★2017/06/03 追記
 CNCルーターで穴開けしたので写真を貼っておきます。CNCに基板をセッティングする場合の位置合せ方法としてはCNCを操作して基板の対角線上の離れた穴開け位置に移動した状態でX、Yの2方向から見て基板の穴開け位置にあっていることを確認することで行いました。
 基板厚1.5mmに対して1.7mmの深さで穴開けしました。一部穴が開いていないように見える箇所がありますが、裏から抵抗の足を入れると簡単に貫通し蓋状の銅が丸く剥がれる状態でした。
 また、最後は四隅の穴開けになっていますがY軸が脱調したのか少しずれています^^;

CNCでの穴開け後


★2017/06/03 追記
 スルホール処理後の写真を貼っておきます。スルホール処理は 0.3mm のスズメッキ線を使って行いました。裏面の半田が溶ける前に半田付けする必要があり、ちょっとコツが必要ですが何個かやってみればコツはつかめると思います。
 しかしスルホール1個の処理が片面基板のジャンパー1本の処理の手間と同じくらいなのでこの方法での両面基板のメリットは何かを考えてしまう・・
 パターン設計が楽、部品間の距離が小さくてもいいので少し小型にできる、遠回りしたパターンが少なくなる くらいですかねぇ~
 表面実装部品で設計しないと両面基板のメリットが出にくいような気がする。

スルホール処理後


★2019/10/09 追記
 オブラートを使った両面基板の作成方法に関して「両面プリント基板の制作実験(その7)オブラート転写方式」の記事に書きました。


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