TL866II Plus用VPP:21V/25V対応アダプタの製作(その1) [その他]
手持ちの NEC 製の uPD2716 を書き込もうとしましたが、使用している ロムライタ(TL866II Plus、以降 TL866 と記す)が対応していないためディバイス選択を intel M2732 にして書き込んだところ下図のようなベリファイエラーが発生しました。
TL866 の Vpp 電圧は 18V までしか対応していませんが、uPD2716 の Vpp は 25V の電圧が必要なのです。
Vpp の電圧が足りないなら昇圧するアダプタを作ろうという発想で考えたものが下図の回路です。Vpp の端子は 2716、2732 及び 2764/27128 で異なるので ROM のタイプによる切替え設定が楽なように TL866 からのロジック信号はそのまま通し、Vppとして 18V が来た場合には 21V または 25V に変換するように考えました。
この部分の回路をシミュレータで検証してみました。下図が TL866 からの 18V の Vpp を 25V に変換している際のシミュレート結果です。
上図では変換後の Vpp が 25V よりも低くなるので昇圧後の電圧を 25.7V でシミュレートした結果が下図になります。ほぼ 25V になっていますね。
ロジックレベルの信号の場合はそのまま通過して欲しいのですが、下図のシミュレーション結果を見ると問題無さそうです。
Vpp 用の 21V/25V は秋月電子さんで見つけた昇圧機能のある TJ34063 を使って 5V から生成することにしました。
生成したVpp 用の平滑コンデンサを 4.7uF にした場合の立上り部分の実測波形が下図で CH1(黄色)が 5V 入力で CH2(水色)が昇圧回路の出力です。電源が供給されてから 4ms 程度で立ち上っています。これなら TL866 が供給する ROM 用の Vcc が使える可能性が出てきました。
立上り時間を更に短くするために 21V 用の平滑コンデンサを 4.7uF から 1.0uF に変更した場合の立上り波形が下図です。0.9ms 程度で立ち上っていますね。
しかしながら、TL866 から ROM に供給される Vcc はドライブ能力はそれほど高くないと思われるので 100 Ωの抵抗を介して 5V を給電した場合は下図のように昇圧できない状況でした。
実際に TL866 に昇圧回路を接続した状態で 2716 の読込み動作を実行したところ、下図のように電流制限が掛かってエラーが発生しました。
以上より、昇圧用の 5V は外部からの給電とし、ROM(2716/2732/2764/27128)の切替え設定は Vpp 電圧の選択と GND ピン切替えの2つだけで行けそうです。 Vpp 端子は ROM の違いにより 3 箇所になるので上記のシミュレーションで使った回路を3組使うことになります。ブレッドボードでの確認は上記の昇圧回路だけにしてプリント基板化を進めていきたいと思います。
最後にネットで検索してみると下記のようにいろいろ情報がありました。ネット上の Vpp 切替え回路は上記のシミュレーションで使ったものとほとんど同じで驚きました。まぁこの手の切替え回路は一般的な思考では同じような回路になるということなのでしょう。
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NEC 製 uPD2716 書込み時のベリファイエラー |
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TL866 の Vpp 電圧は 18V までしか対応していませんが、uPD2716 の Vpp は 25V の電圧が必要なのです。
NEC 製 uPD2716 の Vpp 電圧仕様 |
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Vpp の電圧が足りないなら昇圧するアダプタを作ろうという発想で考えたものが下図の回路です。Vpp の端子は 2716、2732 及び 2764/27128 で異なるので ROM のタイプによる切替え設定が楽なように TL866 からのロジック信号はそのまま通し、Vppとして 18V が来た場合には 21V または 25V に変換するように考えました。
この部分の回路をシミュレータで検証してみました。下図が TL866 からの 18V の Vpp を 25V に変換している際のシミュレート結果です。
18V から 25V への変換機能のシミュレート結果 |
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上図では変換後の Vpp が 25V よりも低くなるので昇圧後の電圧を 25.7V でシミュレートした結果が下図になります。ほぼ 25V になっていますね。
18V から 25V への変換機能のシミュレート結果(昇圧電圧が 25.7V の場合) |
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ロジックレベルの信号の場合はそのまま通過して欲しいのですが、下図のシミュレーション結果を見ると問題無さそうです。
5V 信号の通過状況のシミュレーション結果 |
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Vpp 用の 21V/25V は秋月電子さんで見つけた昇圧機能のある TJ34063 を使って 5V から生成することにしました。
生成したVpp 用の平滑コンデンサを 4.7uF にした場合の立上り部分の実測波形が下図で CH1(黄色)が 5V 入力で CH2(水色)が昇圧回路の出力です。電源が供給されてから 4ms 程度で立ち上っています。これなら TL866 が供給する ROM 用の Vcc が使える可能性が出てきました。
21V の立上り時間(コンデンサ:4.7uF) |
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立上り時間を更に短くするために 21V 用の平滑コンデンサを 4.7uF から 1.0uF に変更した場合の立上り波形が下図です。0.9ms 程度で立ち上っていますね。
21V の立上り時間(コンデンサ:1.0uF) |
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しかしながら、TL866 から ROM に供給される Vcc はドライブ能力はそれほど高くないと思われるので 100 Ωの抵抗を介して 5V を給電した場合は下図のように昇圧できない状況でした。
100Ω経由で 5V 給電した場合 |
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実際に TL866 に昇圧回路を接続した状態で 2716 の読込み動作を実行したところ、下図のように電流制限が掛かってエラーが発生しました。
昇圧回路接続状態での ROM リード時のエラー |
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以上より、昇圧用の 5V は外部からの給電とし、ROM(2716/2732/2764/27128)の切替え設定は Vpp 電圧の選択と GND ピン切替えの2つだけで行けそうです。 Vpp 端子は ROM の違いにより 3 箇所になるので上記のシミュレーションで使った回路を3組使うことになります。ブレッドボードでの確認は上記の昇圧回路だけにしてプリント基板化を進めていきたいと思います。
最後にネットで検索してみると下記のようにいろいろ情報がありました。ネット上の Vpp 切替え回路は上記のシミュレーションで使ったものとほとんど同じで驚きました。まぁこの手の切替え回路は一般的な思考では同じような回路になるということなのでしょう。
- TL866 Adapter
UV-EPROM 書込み時の TL866 からの Vpp 電圧を 25V に変更するアダプタ
- Adapter für höhere Programmierspannungen am Universalprogrammer TL866
上記と同様のアダプタの記事
- How to program EPROM M2732 21V with TL866?
TL866 で Vpp が 21V 以上の ROM の書き込み方法について議論している掲示板。上記 1) も紹介されている。書込み時間を 100us から 1ms に変更するとエラーが少なくなるという裏技的な応急対応も紹介されている。
- TL866II PLUS 25V/21V アダプターを作った(2716/2732版)
プリント基板を作られている方が日本にいらっしゃいました。2716/2732 対応版と 2764/27128 対応版の 2 種類のプリント基板があるようです。
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