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GreenPAKで遊ぶ(その7)導通チェッカ [GreenPAK]

 SLG46826 単独で有用なツールを作るとしたら何がいいか考えてみると動作の柔軟性からしてマイコンにはかなわないと思ってしまいます。マイコンはソフト制御なので動作に柔軟性がありますが、ソフト作成の手間がかかる(でもソフト作りは楽しい)し、電池駆動の場合、スリープ時の省電力化にも気を使います。逆に SLG46826 であれば、回路作成は必要ですがソフトが不要であり、省電力化もあまり気を使わなくてもよさそうです。
 試しに簡単な回路でコンパレータ等の使用コンポーネントをパワーダウン状態にして消費電力を測定してみました。テスタの uA レンジで測定したので精度は高くないと思いますが待機時の消費電流は 0.2uA 程度でした。最初、簡単に 0.2uA とは中々凄いと思いましたが、I2C 接続を外したら 10uA 以上だったのであぁ I2C ピンから給電されていたのかと一旦落胆し、その後 I2C ピンをプルアップすることで 0.2uA に戻ったので電池駆動の導通チェッカを設計してみることにしました。


1.導通チェッカの仕様
 回路チェック用導通チェッカと言えば ChaN さんの回路内導通チェッカが有名ですが、これを参考にして次の仕様にしました。
  • 電源は3Vのボタン電池(CR2032)を使用する。
  • 被測定側への印加電圧は 0.5V 程度とする。
  • 60秒間程度操作が無い場合、自動的にスリープ状態に移行する。
  • スリープ状態時にプローブをショートすることでウェイク状態になる。
  • 80Ωより小さい場合、ブザーを鳴らし(500Hz)、更に40Ω以下でブザーの音色を変える(1kHz)。

 上記の感度はもう少し低い抵抗値にしたかったのですが、コンパレータのリファレンスの最小値が 32mV であることから上記の値にしました。コンパレータはリファレンスを 32mV のものと 64mV の二つ使用することにしました。
 また、ウェイクアップ用の専用のスイッチを設けずにウェイクアップするために、プローブへ給電する分圧抵抗のグランド側をデジタル出力で駆動し、スリープ時は入力に切り替えることで、プローブ短絡時の立下りエッジでウェイクアップするようにしました。これによりウェイクアップのスイッチを省略しています。


2.回路設計
 設計した回路を下図に示します。OSC0 で 1kHz と 500Hz のブザー用の矩形波を作り、LUT0 でコンパレータの出力により音を切り替えています。CNT1 を one shot モードで動かし、アクティブ(ウェイク状態)で二つのコンパレータと OSC0 をパワーオン状態にしています。

導通チェッカ回路


 外部回路である被測定部分では V3 の矩形波出力で 50 Ωの抵抗をオン/オフ制御することでチェック対象の抵抗値の変動をシミュレーションしています。FET を使いたかったのですが想定通り動かすには色々パラメータの設定が必要そうだったのでトランジスタに変更しました。

 下図がシミュレーション結果です。被測側が 50 Ωパラ接続の状態でブザー用の PIN 19 に 1KHz が出力され、50 Ω単独では 500Hz が出力されていて想定通りの動作になっています。

導通チェッカのシミュレーション結果


★追記 2024/06/24 {
 回路図を追記します。右端の部品はボタン電池(CR2032)のホルダです。

導通チェッカ回路図
}


3.まとめ
 SLG46826 を使ってスリープ機能付き、かつプローブ操作でウェイクアップする導通チェッカが割合簡単に設計できました。テスタで実測した結果、スリープ時の消費電流は 0.2uA 程度でした。今回の作業で感じた SLG46826 の長所と短所を列挙すると
  • 長所
    1. uA 以下の小電流での待機状態を容易に実現できる。
    2. ソフトの作成無しにある程度の動作を実現できる。
    3. 簡単な外部回路もシミュレートできるので動作確認が容易である。
  • 短所
    1. ソフトウェアのような柔軟な動作の作りこみが困難である。
    2. one shot をリトリガラブルにできない(未発見の実現方法がある?)。
    3. 再書き込み可能なチップの選択肢が少ない(今回の用途ならもっとピン数の少ないチップを使いたい)。

 上記の短所 ii のため、導通チェック中に one shot が終了した場合、一瞬ではありますがプローブに 3V が印加される可能性があります。これによりチェック対象の回路が破壊されることはまず無いとは思いますがこの点については未解決のままです。
 尚、コンパレータのリファレンス電圧を 32mV と 64mV に設定しているので計算上は下記のように 80 Ω以下でブザーが鳴り、38 Ω以下でブザー音が高くなるはずです。

 64mV:80 Ω = 0.064/((3-0.064)/3.3-0.064/0.68)
 32mV:38 Ω = 0.032/((3-0.032)/3.3-0.032/0.68)


★追記 2024/06/24
 SLG46826 の機能が余っているので、ボタン電池の電圧が 2.56V 以下になった際に2秒周期で点滅する電池切れ表示用LEDを追加しました。

電池切れLED付き導通チェッカの設計回路 Ver0.02


電池切れLED付き導通チェッカ回路図 Ver0.02


★追記 2024/06/25
 この導通チェッカを手配線で作成しようと思いましたが、ピッチが狭いのでプリント基板化することにしました。背面に背負っているのはボタン電池ホルダです。

電池切れLED付き導通チェッカ基板の3D表示 Ver0.02



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